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赤い村での出会い

拙い文章ですが、楽しんでいただけたら嬉しいです。

投稿は、週に一度、一話程度行う予定です。

よろしくお願いします。

「おらぁぁぁぁ」


 ナイフを振りかざして毛むくじゃらのモンスター、風牛ウィンカウに飛びかかる茶髪の少年が一人。

 その周りでは、アビリティでモンスターを倒す二十代前半の男が三人。

 その男たちは、ナイフを持った少年を見ると近寄ってきて、少年の獲物をあっという間に火だるまにした。

 そして、少年を見下ろしてニヤニヤと笑みを浮かべる。


無能力者ラックのくせに何でモンスター狩ってんだよ」

「アビリティも持ってないのによくやるよなー」

無能力者ラックは木の実でも食ってろよ」

 

そんなことを言われても、少年は全く反応を返さず、男たちの横を通り過ぎようとする。

 それが面白くなかったのか、少年を罵倒する言葉が次々と投げかけられる。


「おい、無視してんじゃねーよ、チビ」

「お前、無能力者ラックのくせに生意気」

「ここは、お前みたいなガキが来るとこじゃねーんだよ」


ゆっくりと男たちの方を振り返った少年は、こめかみをピクピクさせながらナイフをクルクルと回す。


「おい、俺は十六だ。この前成人したんだからガキじゃねぇんだよ! あと俺の名前はチビでも無能力者ラックでもねぇ。ディックだ!」


 そう言って、ナイフを男たちに投げつける。

 そのナイフは一番前にいた男の頬をかすって飛んで行った。

 男の顔は一気に青ざめる。


「チッ、覚えてろよ!」


 それだけ言い残すと。男たちは遠くへ走って行ってしまった。

 それを見送って、ディックはため息をつく。


「あれくらいでビビるなら喧嘩売ってくんじゃねぇよ」


 そう呟いて、投げたナイフを拾い、次の獲物を探す。

 アビリティを持たない者、無能力者ラックであっても食料は調達しなくてはならない。

 ディックは風の異能力者ソーサラーの父と、無能力者ラックの母親の間に生まれた無能力者ラックだ。

 こういう場合、父が狩りを行うのが一般的だが、ディックの父は半年前に足を悪くしてしまった。

 だから、その代わりにディックが狩りをしている。


「あーあ、風牛ウィンカウの肉持って帰りたかったのに、邪魔しやがって……。最近やっとビースト系のモンスターも倒せるようになったから、父さんと母さんに自慢するつもりだったのに……」

 

 もう日が暮れる。

 今日の狩りは諦めたのか、ディックはナイフを片付けて、自分の村に向けて歩き出す。

 もうすぐ森を抜けるというとき、ディックは異変を感じた。


「あれ?」


 木々の間から見える空が赤い。いつもより赤い。

 それは夕日のせいでも、ディックの苛立ちを表しているわけでもない。

 火だ。

 火が物凄い勢いで燃え盛っている。

 燃えていたのは、ディックの村だった。


「どういうことだよ!」


 ディックは燃えている村に駆け寄る。

 しかし、強烈な熱風に煽られて、村の中に入ることはできなかった。

 それでも、どこからか村に入れないかと辺りを見回していると、村のすぐ側で何かと戦っている人影が目に入る。人数は三人。戦っている相手は火兎ファイラビットの群れだ。

 球体が火を纏ったようにも見えるそのモンスター。

 そいつが放った火は、本体を殺さない限り消えない。

 それを知っているディックはナイフを取り出し、モンスターの群れの中に突っ込んでいく。

 突然の乱入者に、戦っていた三人は驚きの表情を浮かべた。


「おい、今誰かそっち行かなかったか?」

「来たよー、可愛い男の子!」

「は? 止めろよ!」

「えー、めんどくさーい、アリアちゃん行ってきてよー」


 話しながらも、手は緩めずにモンスターを倒している。

 金髪の若い男は銃を使って一発でモンスターを仕留め、赤い長髪の少女は二本の剣で飛んでくる火の玉を切り裂き、肩までの黒い髪の少女は大きな斧でそこら一帯のモンスターを一気に薙ぎ払う。

 その様子からは、こういったモンスターの討伐に慣れていることが分かる。

 そんな中に、突っ込んでいったディックは邪魔でしかない。


「ちょっと、落ち着いて」


 アリアと呼ばれた黒髪の少女が声をかけるも、ナイフでモンスターをめった刺しにするのに忙しいディックには聞こえていないようだ。

 見かねた金髪の男がディックのところまでやって来て、腕を掴み、離れたところまで乱暴に放り投げた。


「危ないからそこにいてくれ」


 金髪の男は笑顔でそう言ったが、その目には絶対に拒否できないような迫力があった。

 自分と同年代の男に軽々投げ飛ばされたからか、自分の無力さにか、ディックは唇を噛んで三人がモンスターを倒すのをただ見ていた。



今回は短い内容となりましたが、

ご一読いただき、ありがとうございました。

よろしければ今後も読んでいただけると嬉しいです。

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