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第二章第四話

「いやぁ、街だねー」「街ですねえ」「いろいろ売ってるねー」「なんでも買えるねえ」

「そう……じゃあブティックでもよって行く?」

「それは本気で言っているのか」


 私は荷物の山の底から唸るようにして声を上げた。


「ナニ、キモチノモンダイダガンバレガンバレッ」


 軽やかに飛び回る鳥公に私は盛大に舌打ちする。飯よりも重いものを(くわ)えたことも無いくせに。


 セカンド・ツクヴァ街での三日間の公演が無事終了し、私たちはこれからの旅に必要な食料や消耗品(しょうもうひん)、その他日用のこまごましたものの買い物に出ていた。


「ま、これくらいで良しとしましょ。必要な物も全部買えたし、何よりそろそろ日も暮れそうだしね」


 アリサは持ってきたメモにチェックをして言う。


「アリサ、重い食料品は持つからせめて軽い荷物だけでも持ってくれないか……」

「まったく。男を見せなさいよ、しょうがないわね」


 そう言いながらもアリサは日用雑貨をまとめた大袋を替わってくれる。この辺りの気遣いは娘共とは異なるところだ。


「ところで、あれから調子のほどはどうなの?」

「国土調査のことか? ああ、首尾順調といったところだろう」


 事実、山神族の一件があったものの調査は予定通り進み、調査進捗は当初目標にしていた町村の約半分にまで達していた。サーカス団員という立場も効して住民たちにはまずまず肯定的に迎えられ、ここセカンド・ツクヴァ街でも回答率は悪くない。

 そして、調査が進むにつれて民の姿も少しずつだが、分かってきたような気がする。人口バランス、戦災復興問題、所得格差……。


「――違う違う。そっちのことは心配してないわ」


 アリサは首を横に振る。


「ジローのことよ。結局山神族の町を離れてからすぐ元気を取り戻したようだったけれど、どう? その後変わりないの?」

「ああ……」


 私は空を飛び回るジローを見やる。

 山神族の首長、セーコ氏と別れてから気を落としていたジローは他のメンバーの心配をよそに、すぐ調子を取り戻していた――ように見えた。芸は卒なくこなしていたし、食への意地汚さも相変わらずだ。

 しかし、その本心はどうか。表面上は平常を取り繕い、心の奥底には深淵(しんえん)が決して取り除かれ得ないものとして渦巻いているのだとしたら、それはもう私には分からないのである。



「お、返って来たな……ハハ、すんげぇ量抱えてやがる」


 テントに戻ると団長とマギー氏が出迎えてくれた。


「散々な目にあいましたよ。よくも人身御供(ひとみごくう)にしてくれましたね」

「まま、そう言わず。ほら荷物を置いて。お客さんがいらしてるよ」

「客ですか……?」


 そんな約束は身に覚えがない。(いぶか)しみながらもマギー氏に(うなが)され奥の部屋に向かうと、そこには官吏(かんり)らしき服装をした一人の男が私を待っていた。


「ああ、あなたがルアン・ハーバー殿ですね!」


 私が部屋に入るなり男は名刺を差し出して、せかせかと自己紹介を始める。


「私、セカンド・ツクヴァ街を治めるエドワード閣下の秘書室に所属しますヒロ・ミッチェルと申します。この度はエドワード閣下がルアン殿と是非お会いしたいとの思し召しでございましたのでこうして参上させて――」


「ちょ、ちょっと待って下さい」


 私は驚いて彼を止める。

 エドワード閣下が私に会いたいだって? 仮に本当なら衝撃的な話だ。


 セカンド・ツクヴァ街を治める貴族、エドワード・ビオ=ツクヴァ閣下と言えば官僚を志すものなら知らぬものは無いほどの名士であった。何しろ三十代の若さにしてツクヴァの領地を受け継ぎ、独自の構想に基づく革命的な開発計画「セカンド・ツクヴァ計画」を断行、当時魔王が討ち倒されて間も無く戦禍(せんか)の大きかった一帯に教育機関や研究施設を誘致(ゆうち)・建設し一大都市を築くに至ったのである。

 官僚の端くれなら誰もがその手腕に憧れ、また彼のもとで働きたいと願う。エドワード・ビオ=ツクヴァ閣下とはそのような傑物(けつぶつ)であった。


 そのような人物が私に……? 不思議な話だが、光栄な事である。


「来ていただけますね?」

「え、ええ。無論です、(つつ)んで参上させて頂きます」


 ヒロ氏の問いかけに私は固く手を握り、頭を下げる。


「よかった。それでは急ですが、早速ご案内しましょう。よろしいですね?」

「ああ、るぱん、明日の朝には一度様子を知らせてくれ。その内容次第で俺たちもどうするか決めにゃならん」

「……? ええ、団長。分かりました」


 かくして私はセカンド・ツクヴァ街の中心地、セカンド・ツクヴァ城に招かれることとなったのである。


 ※※※


 エドワード・ビオ=ツクヴァ閣下は案外に小柄な人物であった。しかし、いやそれ故に彼の一挙手一投足(いっきょしゅいっとうそく)には他者にはない為政者(いせいしゃ)としての風格と、なおも盛んな血気を感じさせるのである。


「では王国の未来を担う、若きルアン君に乾杯!」


 テーブルにはツクヴァ地鶏のローストチキンを始めとして、セカンド・ツクヴァ街やイヴァ=ラキ王国各地の名産品が一流のコックにより調理され、ずらりと並ぶ。


「ウワァースゲーェッ!」「ここにはお前が食べられるものは無いがな、ジロー」

「ささルアン君遠慮せず」


 エドワード閣下に促され、私は料理を取り皿に取り分ける。かくも豪華な食事はミトにいた頃にも味わったことはない。


「セカンド・ツクヴァの街は初めてかね?」「ええ、今回が初め――」「魔導鎧(まどうがい)を見たことがあるかい?」


 ワタシの語尾を待たず次々と発言をするエドワード閣下に私は少々驚いた。どうもこと会話においてエドワード閣下はせっかちであるようだ。


「いえ、まだ見た――」「最先端の魔導技術を結集したものだそうでね、テストということも兼ねてうちでは器械兵として取り入れてみたんだ」「ええ、それは――」「技術の進歩というものは本当に素晴らしいものだ、そうは思わんかね」「ええ、私も――」「しかし技術の進歩というのはその受け皿があって初めてなし得ることだ、そして実際には技術者研究者よりその受け皿の方が枯渇してしまいやすい、この街は彼らの大きな受け皿としてその進歩を奨励しなければならんのだな、ところで君フルボディワインはいけるクチかね」

「え、はい、ええ、いけます」


 突然話題を変えられた私はややどぎまぎしながらも頷き返す。完全に閣下のペースに飲まれている。流石はやり手の政治家、というべきだろうか。


「ところでだ、ルアン君」


 エドワード閣下はワインを口に含むと再び話を始める。


「君は王の勅令(ちょくれい)で国土調査をなさってるそうじゃないか、前例のない中さぞ苦労されていることだろう」

「そうですね」私もワインに口をつけながら話を返す。「苦労は多いですが、その分実も多いと――」

「ああ国土調査は実に広範(こうはん)に効果のある政策だと思っている、特にセカンド・ツクヴァのような計画都市では住民の実態それ自体が計画ひいては政治家としての私の評価に直結するのだろう、その意味では私としても」


 エドワード閣下は不意にワインを持ち上げ、私のグラスに(しゃく)をして下さる。



「非常に興味深いところだ。どれ、君の慧眼にセカンド・ツクヴァ街はどう映る?」



 私はにわかにエドワード閣下の雰囲気が変化したことを察知した。エドワード閣下は私を試そうとしているのか――


「調査と言ってもまだ一度きりでありますので確たることは言えませんが、人口、従業者数共に他の都市拠点と比して遜色(そんしょく)なく、更に開発が進んでいることを考えると将来の見通しは明るいように感じられます。ただ――」

「ただ?」


 私は慎重を期しながら話し始める。


「開発地域から外れた農村は未だ戦禍の影響を受け続けあまり開発の恩恵を得られていません。また街の知識階級も開発に住民たちが取り残されている状態を懸念(けねん)しています」


「――私も同じことを思っていたよ」


 エドワード閣下は私の話を聞くと深い溜息をついて、私の方を見やった。


「食後、私の部屋に来なさい。話しておきたいことができた」


 ※※※


 エドワード閣下の執務室は驚くほどシンプルであった。部屋にはエドワード閣下と私、それから机と二人の奇妙な鎧をつけた騎士――器械兵が控えているのみである。


「紹介しよう彼らが魔導鎧(まどうがい)を装備した器械兵だ、鎧を装備することで彼らの戦力は何倍にも拡張されると言われている、ところでルアン君調査票を見せてもらってもいいかな」

「はい、こちらに」「ありがとう」


 エドワード閣下は調査票を受け取ると恐ろしいスピードで、しかし一枚一枚確実に目を通していく。


「――ふむ、全て把握した。ルアン君、君は字が綺麗だね」




 次の瞬間、私は我が耳を疑った。


「ファイア」


 魔導の火に包まれた調査票の束は一瞬のうちに黒く焼け焦げ、やがて(すす)と消えた。




「ルアン君、君に前もって聞いておきたいことがある」


 呆然とする私に追い打ちをかけるかのように閣下は質問を投げかける。


「鳥が次代の王になることは無いと言っていい。それでは、だ。君は自らに王としての器を見るか。王となる覚悟があるのか」

「……」


 質問にただ黙すのみの私を見て、閣下はうんと頷く。


「君の国土調査は王位後継者の選定と等価であるのだろう、ハハまあ驚くな実は予め君たちの本当の目的を知る機会があってね。それでいい。人には向き不向きがある、君はその器ではない、その態度を見て安心した」


「なぜ質問票を燃やされたのですか」


 私はやっとのことで言葉を振り絞る。


「貴族の間で王位後継者を巡り勢力争いが激しくなっていることはご承知の通りだろう、バカな争いだ、私は身を引いていたのだがその態度を逆に気味悪がったのだろう、どうもきな臭い連中がいるようでな、君には不憫だが腹をすかせた彼らに絶好の餌を与えることは街の未来にとっても良いことではない、まあそれにしても歳を取ると人間臆病になるようだ」


 閣下は滔々と話し倒すと、こほんと一つ咳払いをする。


「ルアン君、君をセカンド・ツクヴァ街の行政特別補佐役として迎えよう」

「なんですって?」


 私が驚いて顔を上げると、閣下の微笑が目に入った。


「これはある意味では君へのお詫びとも言えるがしかし決してただそれだけの意味ではないことを確約しよう、君には能力がある、私が保証する、君の立場は私が守ろう」


「それは命令ですか、勧告ですか」


 私は閣下の肩越しに器械兵の存在を見やる。それを聞いた閣下は笑い声を上げ、


「なるほど分かった、では今夜は城の門を開けたままにし見張りの兵には出るものに注意を払うなと伝えておこう、その代わり新規補佐役の就任式は明日行うことにする」

「要求を呑めないのなら今晩中に城を去れ、と」

「質問票を失った今、君にそれをするだけの利益があればの話だが」


 その一言に、私は大きく気持ちが揺らぐのを感じた。

 そもそも今度の旅の目的で私が求めたものはなんだったか。さらなる出世の足がかりとしては国土調査よりもエドワード閣下の下に仕える方がどれほど有利であろうか。


「国土調査の完成は他のよりもっともらしい王位後継者の手で行われるだろう、大事を為したいと思うのであれば無駄なことをする暇は一時もない」


 エドワード閣下の声は大きな力を持って私の脳髄(のうずい)にまで響く。

 私は――。



「ともかく今晩は部屋でよく考えることだ。どちらが君の取るべき道なのかを」


 苦悩する私をよそに、閣下は話の打ち切りを宣言する。


「……よく検討させて頂きます。それでは失礼致し――」

「そうだもう一つ言い忘れていたことがあった、君の肩の上にいる友人のことだ」


 私が部屋から出ようとすると、閣下がダメ押しのように一つ言い添えた。


「セカンド・ツクヴァの研究成果を持ってすれば今すぐにでも君の友人を元の世界に返すことができるだろう、かなりの予算が必要になるがね」


 その言葉は私の心を更に揺さぶるには充分過ぎるものであった。


 ※※※


「ルアン様、お水をお持ちしました」

「そこに置いておいてくれ」


 メイドは近くにあったテーブルに水の入ったグラスを置くとそのまま一礼し、去っていった。やけにガタイのいいメイドであった気もするが、まあいい。これで一人になれた。


「アーオイシカッタッ! アーオイシカッタッ!」


 ……訳ではなかったか。



 私はジローに木の実をやりながらエドワード閣下の提案についてあれこれと考え始めた。

 それは考えれば考える程私にとって魅力的である、はずであった。そもそも私は出世のチャンスとしてこの命を受けたのであるし、そう考えればセカンド・ツクヴァ街の行政特別補佐役は将来を約束されたうまい立場であると言えた。

 国土調査自体は私以外にも二組の、より王位継承権の近くにいる担当者がおり、彼らに任せてしまっても差し支えないように思われた。私が調査を放り投げたという事実はエドワード閣下の手腕に任せればまずもみ消されてしまうに違いない。


 それに――。

 私は木の実をつつくジローをぼうっと眺めた。歓迎会でお預けを食らっていた分、実に嬉しそうに食べるものだ。


「お前も家に帰りたいよなあ?」

「アーオイシカッタッ、アーオイシカッタッ!」


 鳥公は私の言葉を無視してひたすらに木の実を催促する。恐らくはかつての飼い主もこの食い意地に手を焼いていたに違いない。私は一人微苦笑する。


 結局のところ長いものに巻かれるしか無いのだ。私の思考はそんな結論にたどり着いていた。

 よくよく考えれば考えるほど、それは至極(しごく)妥当なものであるように思われた。周囲の期待にあわせて官僚学校へ進学し、王の命令を受けて国土調査をし、今度はエドワード閣下の意向でセカンド・ツクヴァの行政特別補佐に就く。悪いことじゃない。ならそれでいいじゃないか。


 ほっと溜息をついたら、ふと調査先で出会った人達の顔が頭に浮かんだ。村で出会った爺さんの節くれだった手の感触、族を上げて調査を手伝ってくれたセーコ氏が去り際に言った「期待している」の声。彼らとの交流は私の胸を熱くしたが、今ではそれも虚しく感じられる。


 ああ、どうかあなた達と交わした約束を反故(ほご)にした私を許し給え……。




「――シツモンヒョウバンゴウ、イチッ!」


 不意にジローが大声で叫び始めた。


「セイベツ、オトコ! セタイ、シチニン!」

「……ジローお前、もしかして質問票の内容を暗記しているのか!?」


 そう問い詰めると、ジローはひょいと小首を傾げて言った。


「レッツ・トーケイ、シナイノ?」



 私は咄嗟にジローの口を抑えて紙束とカンテラをひったくり、暴れるジローを小脇に抱え、部屋の外にいた件のでかいメイドとぶつかりそうになりながら、一目散に外へと駈け出した。

 部屋の中では何処で何を聞かれているか分からない。質問票を躊躇(ためら)いもなく燃やしたあの閣下のことだ。ジローが質問票の内容を丸暗記していると知られたら何をされるか分かったものではなかった。


 城の外周を走り回り、人気のない場所を見つけると私はすぐさまジローに質問票の内容を喋らせ、筆記を始めた。何をこんなに必死になっているのか自分でも見当がつかなかった。しかし私はただただ必死だった。夢中で紙にペンを走らせ続けた。


 性別、世帯、住居、教育、職業――。


 筆記を続けていくうちに私はそれぞれの質問票の後ろにいる実に多様な人々のことを思い起こしていた。一枚の質問票の裏には一人の人間の人生があった。そして生きている一人ひとりの人間が集まって一つの街や村を形成し、町や村が合わさってやっと、一つの国の姿が現れるのである。



 ――すべてが終わった時、空は次第に白みはじめていた。


 私はようやくほっと息をつく。手には大きなペンだこが出来、ジローの声もガラガラであった。


「よく頑張ったよ、私も、お前も。なあ?」


 安心したのか早くも寝息をたてはじめたジローを撫でながら、私は(つぶや)いた。


 ※※※


 戻ってから形式に(なら)った辞退届を書いた私はそれを気づきやすいようテーブルの上に残し、ついでに件のガタイのいいメイドにも別れの挨拶をしてすぐ城を出た。

 本当であれば城を出る際にエドワード閣下にも挨拶をしておきたいところではあったが、また口八丁手八丁に引き留められるのではないかと思ったため、やめにした。

 しかし、こう朝早くではサーカス団のテントに戻ってもきっと皆眠っているに違いない。

 私もどこかで仮眠を取ろうか。何分徹夜で作業をしていたものだから眠くてしょうがない――


 そう思っていたものだから、戻った時にサーカス団の皆が出立(しゅったつ)の準備をしているのを見て私は仰天した。


「あ、ふぁ~あ。帰ってきた」「ふゎああー。るぱん眠いんだけど」

「いや……」開口一番に愚痴を言われ私は言葉を失う。


「おう、るぱん。戻ってきたな」

「この声は団長――」


 そして団長の姿で再び驚いた。


「――メイド?」


 私は我が目を疑った。それこそ徹夜明けの幻覚を見ているのではないか、そう思ったが間違いなく目の前にいるのは今朝別れの挨拶をして来た件のガタイのいいメイドだ。


「アリサ、マギー氏、団長はもしや、あれで城に?」


 そう問うと二人は顔を見合わせて苦笑し、


「ええ、絶対不審者と思われるからって止めたんだけどね……」「うーむ、セカンド・ツクヴァ城主は早急に節穴警備兵を解雇して、新しくこのマギーを雇い入れるべきですな」「あら」


 ハハハ、と小さな笑いが起こる。いやいや、笑い事ではない。もし捕まったらどうするつもりだったのだろう。


 まあ、なんだ。団長も心配してくれていた、ということだろうか。そう考えると若干面映(おもは)ゆくもあるが。



「るぱん」


 すべての準備が整った後で、イズミ団長は私に言った。


「いろいろとあったようだが、もう出ていいんだな?」

「ええ」「よし、それじゃあ乗り込め乗り込め」


 団長に尻を叩かれ急いで馬車に乗り込むや、威勢のいい「出発!」の合図。次の町へ向けた新たな旅路が始まる。




 馬車に揺られながら、私はぼうっと眠りこけるジローを眺めていた。


 今まで邪険に扱ってきたところもあったが、こいつには感謝しなくてはならない。まあ、次の町についた時に木の実を腹いっぱい食べさせてやればいいか。それだけでこいつは大層喜ぶだろう。


 セカンド・ツクヴァ街を過ぎ、旅路は残り半分となった。半分とは言っても充分に長い道のりだ。


 良い旅であって欲しい。そう祈りつつ、私はしばし休憩するため目を閉じたのであった。

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