断る
桐「んじゃ、俺も風呂入ってくるから、お前あっちで寝てろ」
野「う、うん」
は、はぁ・・・何かと疲れた
桐「ちゃんと寝ろよー?」
野「わかってるっての!」
桐「んー、あ、おやすみ」
ニコッ
野「うぅ・・・おやすみ・・・?」
桐「おー!」
ダメだ・・・。あいつの笑顔に負けてしまう自分が情けない・・・
野「あぁ、ダメだなぁ・・・」
まぁいいや、寝よう
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ピーンポーン
野「ん、んん・・・」
も、もう朝?
台風はもうすぎてったみたい・・・。雨も降ってないし
野「よ、よいしょっと」
時計どこかな・・・あ、あった。
野「ゲ、まだ三時じゃん!こんな時間に誰?」
桐「あ、野乃花起きちゃった?」
猫かぶってない状態でも名前で呼ぶんすか河野君・・・。
野「ん、別に眠くないし大丈夫!」
本当はめっちゃ眠いけど
桐「そっか。ちょっと出てくるね、寝てていいよ」
野「こんな夜遅くに誰?ちょっと怖い」
宅配便とかは流石にないよね
桐「あー、ちょっと知り合いが来たっぽい。
五月蝿くないようにドアの前で話してるから大丈夫だよ」
知り合い・・・。女の子かな
野「あ、気使わなくていいよ、ありがと」
桐「じゃ、行ってくる」
・・・・・・・・。こういう展開、やっぱ聞き耳立てに行かないとネ
ソーっと、気づかれないように玄関まで来たわけだけど・・・
野「あんま聞こえないなぁ」
あ、耳をドアにくっつけたらはっきり聞こえる
どうやら会話相手は女の人らしい。声が綺麗だな
桐「こんな時間になんの用?あ、僕なんかしちゃった?」
お、一人称僕になってるってことは猫かぶりモードか
?「この前うちに来たときあんた上着忘れてったから
わざわざ洗濯して持ってきてあげたの!感謝しなさいよマジ・・・」
え・・・。河野君女の人の家に?
桐「あ、え、マジで?ごめんごめん、ありがと!」
?「いや、それはいいんだけどさ、今から飲みに行かない?」
・・・・。
桐「えー、二人?」
?「そうだけど、近くにラブホあるよ!」
・・・・やっぱそういう関係か。私を置いてどっかに行っちゃうのかな。
っ・・・。別に寂しくないじゃん、彼氏とかじゃないんだし・・・。
桐「あ、それなんだけどさぁ・・・、」
?「何?」
桐「俺好きな奴出来たから。もうこーゆーの終わりにしね?」
っ、え!?待って、好きな人!?誰誰!?気になる!
しかも一人称俺に戻ってるし・・・
?「・・・え?」
桐「つーまーり。俺は新しい子ができたから美穂とはもう終わりにしたいって言ってるんよ。」
美穂・・・ちゃんか。
美「・・・・ふふっ・・・あははははははは!」
え、待って怖い怖い、漫画でよくある悪者じゃん
桐「何がおかしい?」
美「ふはははは・・・、ごめんっ・・・ははっ!」
えぇ・・・
美「いや、ごめんほんと・・・」
桐「何?」
美「桐都ってさ、今まで本気で恋したことなさそうだったしさ」
桐「正解だけど」
美「私だって遊びだったっしょ?それくらいわかってらぁ!」
あれ、以外にいい人かも
桐「・・・そっか、バレてたか。ごめんな」
美「謝んなくていいって!私も遊びなんて終わりにしたかったし・・・
ありがとね!その子いつか紹介してよ!ガンバ!」
うっ・・・。いい人すぎる・・・。
桐「あー、誘ってきたってことは美穂今から暇?」
美「え?暇だけど」
桐「俺の好きな人今泊まってるから三人で遊ばね?」
・・・・・・・・・・・っはぁ!?
え、いやいやいや待って待って、
一旦落ち着こう・・・
『俺の好きな人今泊まってるから』
ってことは要するにだけど・・・・
河野君の好きな人って私?
美「え、マジ!?でもこんな時間だし・・・。
その子も寝たいだろうしまた今度呼んで!」
桐「おー、そっか。ありがとな!」
美「うん!じゃあねー!」
あ、やばい河野君帰ってくる
バタバタバタ
野「ふぅ、危ない、バれるとこだった」
桐「あ、野乃花まだ起きてたんだ」
ビクッ
野「あ、う、う、うん!」
桐「ちょっと聞きたいんだけどさ」
え、なんだろ・・・
桐「お前俺のこと好きになった?」
・・・え?
野「っっっはぁ!?」
桐「まだ?」
いや、「まだ?」じゃねぇよ、後で好きになること確定かよぉぉぉ!
野「え、いや、えっと・・・」
・・・でもどうなんだろう。
好き?いや好きってほどじゃないか・・・
桐「なんだよ」
野「え・・・気になってるレベルみたいな?エヘッ?」
やば、気になってるレベルって相当じゃん
桐「んじゃ付き合おうか」
いや、イキナリすぎるって
野「お断りします」
桐「じゃあ明日の朝までに好きにさせてやるよ」
それはつまり河野君、体でってことですか。
野「お断りします」
桐「・・・。」