Sync:わたしのこと
くべるものをさがしている。
ときおり思い出せればよいのだけれど、
ふかく吸い込むことをわすれてしまう
はきだすことならいつときも
消えてしまわぬままなのに
ときおり忘れればよいのだけれど、
ほそくはきだすことをおぼえていない
すいこむことならいつときも
消えてしまわぬままなのに
くべるものをさがしている
ときおり思い出せればよいのだけれど、
あめのあと、
とんとんとんとん・とんとん と
しぶきが撥ねる
とん・つー・とん
と あまつぶ に
寄り添い、ひとつに溶けた 窓
東雲の葦は
露をしたためた睫毛なのです。
まばらに雫を振りみだし
ときおり思い出せればよいのだけれど、
それらはいつでも夜あそびばかりで、
呼吸をする遑さえ
与えない
くべるものをさがしている
とおくではたちまち埋没してしまう
うねることも、ゆびのあとも、
ときおり忘れればよいのだけれど、
甘い言葉に、マドレーヌ。
趣味の変幻をよみながら、
お庭に種を蒔いている。
くべるものをさがしているさがさなくとも
すぐ足もとにころがっている忘れたくとも
エコノミストは
ホップ
・ステップ
・バンプ!
もはや機能はうしなわれた!
あしたも、あさっても、そのさきも!
つまりは政治的植物状態である
にんげんは
体育座りのポリアーキー、
砂金集めのエコロジスト、
思考錯誤のニヒリスト、
息巻いて窒息死、
あるいは
平身低頭、
てゆーか、
適当。
くべるものをさがしている
ときおり思い出せればよいのだけれど、
くべるもの、くべる
もの
とは
なにか
くべる、くべる、くべる
とは
なにか
くべ
る
ク
れじ
お
山よ、つま先で く くるる 踊れ、
三日月 ル クルレ 梯子を爪弾き
夜半を奏でる屋根のうえ、
くるる く つま先 ダンスする
花瓶の麓で三日月は
れ ヴぁりエ
小躍りする軌跡
弧であり半月であり
つまり山はつま先で踊り、
腰掛けるcosもつま先で踊る
鳥ははばたく羽根をひろげて
勝利の夜空をsignで舞う
つまりは千鳥足
大股で歩く兵士のことなのです。
くべるものをさがしている
くべるもの、あるいはソシュール
あるいはそしらぬ顔で圭三郎
ならばくべる
くべるる
もの
くべらるる
もの
と
それとは紐づかぬもの
紐づくものなら
くべりうるものをさがさねば
はりつめた心線をはりかえて、つまびいて、
ふれてみて。
うねる斜線の
流れや、ふくらみや、細かなちがいを
くべるもの
くべるるもののなかに
わたしはいない
あなたもいない
すべからく
くべられぬもの
ときおり忘れ、
ときおり思い出す、
紐は、弱い紐帯のままに
くべられぬ言葉として
くべられぬ想いとして
くべらるる
無言のままに
無作為のままに
弱い紐帯で束縛された資本を
へだてることなく、
どうかあなたへ届きますよう
そしてそのようなかたりべでありますよう。