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中3の夏休み、高2のお姉ちゃんができました。

作者: 柳ミル
掲載日:2026/07/22

「やばっ、寝ちゃってた」

どんだけ本が苦手なんだ、と自分に言いたくなる。


隣に座るその人を見る。

分厚い本をテーブルに置き、読んでいる。

真面目に。

寝ていたぼくを全く気にしないで。

相変わらず、仲良くなれる気がしない。


ぼくは、えっと、と言い、

「自動販売機でジュース買ってきていい?」

「どうぞ」

勝手に、て感じ。


ぺこ、と頭を下げ、休憩のコーナーに向かう。


この夏休み、姉ができた。

義理の姉。

高2の夏なのに既に生徒会長をしているらしい。


だけど、

「お姉ちゃんと仲良くなれる気が全くしない」

家族だから仲良くなりたい。




「お姉ちゃんだったら、ブラック飲めるのかな」

呟き。

ガタン、と音がする。微糖のコーヒーが出てきた。


ぼくがいなくなっても、真面目に本を読んでいるのだろう。あの分厚い本、今日は閉館までいるのだろうか?


夏休みが明日からはじまる、という日。

その日に、お母さんができ、お姉ちゃんもできた。

優しそうな母、真面目な姉。


理解したくて、一緒に図書館に来ている。

しかし、ぼくは本が苦手だ、ぶっちゃけ漫画すら読んだことがない。ゲームしたり、テレビ観たり。本のない人生だったのだ。


夏休みになり、数日経つ。

いまだに、本を1冊も読んでいない。

爆睡、熟睡、姉は常に無視してるような。


なんとかしなくちゃな、て考えはするんだけど。


家族だから。

仲の良い家族を目指している。


本をきちんと読めるようになりたい。

夏休みが終わるまでに。

ぼくはまだ中3、一緒にいることのできる時間は夏休みが終わると確実に減ってしまう。


だからこそ。




「あれ、お姉ちゃんも休憩?」

義姉(ねえ)ちゃんの方がいいのか、よく気にしてしまう。

まあ、今みたいに何もリアクションされないから、どうでもいいんだろう。

こっち見ることすらないし。

仲良くなりたいのにな。


お姉ちゃんは自販機のボタンを迷うことなく押す。

機械的に、ガタンと出てくる。機械的てか、機械なんだけど。


「はい」

真面目な顔で差し出してくる。

「飲んで」

くれるらしい。

なんだろう、なぜなんだろう。

「頑張ったご褒美」

ぎこちない笑顔。

会長だから学校では違うかもしれないけど、お姉ちゃんにも苦手意識があるのかもしれない。笑顔はいつもぎこちない。

「嫌ならいいよ」

「あ、ありがとう。もらうよ」

ぼくもぎこちない笑顔。やはり苦手意識。


うん。なんだろう。

確信はないけど、お姉ちゃんと仲良くなれそうな気がしてきた。


さて。

ブラックをもらったんだけど、苦味にぼくは耐えきることができるかな?

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