81.些事の解決①
取り繕った優しさや穏やかさではない。
本当に、本当に穏やかなのだ。
その驚きで涙が引っ込んでしまった。
「辛くないわけじゃないよ?
でも結希を助けられたのなら、僕は安心したんだ。」
「どのみち人は死ぬんだからな。
結構早いなとは思うが、神すら手を出せない自然の摂理だ。」
「すごいね……悟りの境地みたい。
モヤモヤしてるの私だけじゃん………。」
〖お前達未来の子は、何一つ悪くない。
悪いのは……我らだ。無関係な者を巻き込んだ。
申し訳なかった。〗
本当にね。
別に恨むわけじゃないけど、損した気分に近いかな。
でも今なら、水神様にいろいろ質問答えて貰えそうだ。
「謝罪より気になる事答えて欲しいんだけど、いい?」
〖構わない。答えられるものは答えよう。〗
「…じゃあ遠慮無く。
池に沈む直前に言った『迎え』って何?
今ここにいる水神様は迎えじゃないの?」
そもそもなんでここにいるんだ。
めちゃくちゃ今更すぎるけど。
〖この場所は心の中だ。肉体は池の底に沈んでいる。
やるべき事を終えたらそなたの肉体を起こすため、
我が意識のそなたを肉体に戻す事を迎えと呼ぶ。
聞きたい事が無くなったらチビ共をそろそろ呼ぼう。〗
「僕も聞きたい事がある。
結希の創ったこの風景、呪いの始まりの時の姿?」
〖そうだ。穢れによって我の力が弱まっていた。
それがこの場所にも影響するのだ。
枯れかけの池と桜。結希は寂しい姿だとも言ったな。〗
「あ、そう祠。なんでこんなに綺麗なの?
私が見たのはもっとボロボロだったんだけど。」
〖そなたが見たのは建て替え前なんだ。これは建て替え後の姿。
この風景にしようと思った時、何て想像したんだ?」
想像した事……。桜の畔……。記憶の場所……。
「あ。始まりの場所。」
〖それだな。我の祠は呪いの直前に建て替えたのだ。
老朽化だと言う理由だったが実際は穢れによるもの。
建て替えの指示を出したのも隆延だった。〗
「記憶に無くても映せるんだ…。」
〖そなたの桜庭の力の賜物だろうな。始まりの場所と祠。
隆延が呪いを受けたのは、建て替えが終わった後に像が祠に戻る直前だった。
儀式の最中、像を祠に入れろと言ったろ?
あれはその教訓だ。必要な時以外は出さない。
出すのは器の子を介してのみ。」
「そう……だったんだ………。」
呪いを防ぎきれなかったのは、
弱っていたからだけじゃない。
人が、無遠慮に祠と御神体に手を出したから。
結局全部……人の欲と傲りが原因か……。




