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78.5

結希と水神様の話を見守る2人は………。



    ❰ 奏多語り❱

僕が『未練話』に文句を付けた後の話題から、わからない事ばかり。

父には少し見栄を張って『半分も』わからないと言ったが、

半分どころじゃない。

結希が僕達に見えない景色を見てる事も、

結希にしか聞こえない神の声を聞いてる事も。

何もわかってやれない……。


「これが、結希の力なんだね。

僕たちには無い情報があの子の頭の中にある。

その内容を……正しく理解している。」


聞こえてくる言葉の端々からわかった事は、

結希の力は歴代最強だという事。

だから急激な詰め込み可能だったし、

少しの混乱で済んで良かったとも言っていた。

普通なら脳が耐えられず焼き切れるとも。


パソコンの例えは少しわかりやすかった。

機械はショートしたら再起動でなんとかなる事もあるけど、

人間はそうはいかない。

1度止まったら、再起動なんて出来ないのだ。


だから結希は話を一気に進めたがっていた。

儀式前も今も色々な事を考えて、仮説を立てて、

頭が止まらないように必死だったんだ。

情報の詰め込みでショートしそうなのを、

必死で食い止めていたんだ…。



「俺達は歴史書等や口伝でゆっくり考えたけど、

あの子は志乃から歴史書等の内容を聞いただけ。

その他は俺達に見えない物だったりするんだろう。

この風景みたいにな。


過去の風景だって言ってたな。

池も桜も枯れかけの時なんて知らない。

それなのに異様に祠だけは新しい。

これが、呪いが始まった頃なんだろうな。」


父さんはもう話を聞く事を、理解する事をやめたらしい。

景色をじっくり観察してそう言った。

多分それが賢明なのだろう。

理解出来ない話を聞いてもしょうがないのだから。

それでも僕は、聞きたかった。

理解出来なくても、聞きたかった。

結希を1人にしたくなかったんだ。


死んでる僕らが出来る事なんて何もないのに。

生きてる兄さん達ですら何も出来ないのに。



あの子が生まれた日、夢を見たんだ。

『結ぶ…希望…』その単語だけがはっきり聞こえた。

他にも言ってた気がするけど音が籠って聞こえなかったんだ。

この言葉を名前にしなくちゃ、そう思った。

父に伝えると、自分も同じ夢をみたと言う


この名前が、結希に大きなものを背負わせた。

結希の運命を決めてしまった。

そう思ってしまった………。






    ❰ 明徳語り❱

孫が、遠くへ行ってしまいそうな気がした。

水神様は命の危険は無いと言った。

死なせない事が償いだと。

そこに嘘は無いだろう。

だが……違うのだ。命どうこうではない。

死んでるのは俺なのに。


水神様と話し込む姿は、正に桜庭当主。

俺は会話を理解する事を早々に諦めた。

奏多は『半分もわからない』と言っていたが

少しはサバを読んでいるだろう。殆どわからない筈だ。

それでも、理解出来なくても必死に話を聞いていた。



ふと、結希が1日で全てを理解したと言う話が頭を過った。

俺は……どうだったかな…。


「結希は1日か……。

俺は歴史書を理解するまで1ヶ月かかったぞ。

奏多は1週間もかからなかった。

だから俺より強い力がある子なんだと思ってたんだぞ。」


「僕もちょっとそう思ってた。

けど流石に1日なんて無理だよ。

水神様の言った通り、焼き切れるどころじゃない。爆発する。

……それを結希はやったんだね。僕が死んだから。」


「それは……どうだろう。

例えばお前が死ななかったとしてもだぞ?

いつかはこんな日が来てた筈だ。

いつなのかはわからないが確実に来た。

お前の死は早すぎるとは思うが、

だからってお前の死が何かを変えたわけじゃない。

そうだろう?」


奏多がそう思ってしまうのも無理はない。

自分の死がきっかけだと思った意味もわかる。

実際は"奏多の死"ではなく、

"奏多が殺されかけた事"がきっかけだろうがな。


でも遅かれ早かれ人は必ず死ぬ。

呪いの関係者達が死なぬ内に必ず事が動いた筈なんだ。

山崎は……、朝倉は呪いによって長寿は望めない。

朝倉がどんな選択をしたとしても、

そんなに長くは生きられない筈なんだ。

勘だけどな。



奏多は自分のせいだと思っているが、そうじゃない。

俺達が結希の名前を夢で聞く前からきっと決まっていたんだ。

おそらくこの景色の時から、

呪いが始まった時から……、決まっていた。





〖あれは……。神も呪いも関係ない。

桜庭隆延個人の怨念・無念だな。〗


突然聞こえたこの言葉に、俺達は驚いた。

呪いと関係ない怨念…?

結希を見ると、あの子も想定外だったんだろう。

驚いた様子で目を見開いていた。

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