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75.般若の記憶

「…………………」


〖その顔……覚えがあるぞ。どこだったか…。〗


「…………………」


〖うーむ。誰だった?確実に見た顔なのだ……。

腹立たしげに眉間にシワを寄せて、

苛立たしげに目を吊り上げて。

それはまるで般若の如く恐ろしい……そんな顔だ。〗


「…………………」


「………ヒェ…」


すっごい。

叔父の睨みをものともしない水神様。

尊敬は米粒程も無いが、素直にすごいとは思う。

祖父もつい息を漏らす程の恐怖なのに……。


もしかしたらあの神も、

自分の世界に入ったら周りの声が聞こえないタイプなのだろうか。

私と……叔父と、祖父と…一緒。

まさか………桜庭って…………、いや止めておこう。

今は、叔父と水神様に集中しなきゃ。

とばっちりはごめんだからね!


〖最後の子が見たことがない顔……、

我は見覚えがある顔……、

最後の子は生まれていない時…だろうか?

思い出せそうなのだ。………誰だ?〗


「…………………」


〖もう少しよく………ぎゃっ!!!!!!!〗


あ。我に返った。



「…………………」


わ…わら、わら…笑ってる……。

最強に怒ってる。

水神様は………!立ったまま気絶した!!

マズイ。目線をゆっくり、ゆーっくり下げて…。


「結希ちゃん。」


……死んだ。般若が来た。

姿勢を正して少しでも、何とか!


「はいっ!!!」


「僕の顔、般若?」


「般若…いえ……はい……。嘘は…つけません……。」


こう言う時は取り繕ったらおしまいなのだ。

南無阿弥陀仏を心の中で唱えておかねば。


「そっかぁ。般若かぁ~。ひどいなぁ~~。

ところで結希ちゃん。

未練話って言葉、どういうつもり?」


「未練…、深い意味は…無くて…。

"未練の内容"より"未練話"の方が言葉数少ないから、

そう…いった……だけ、です。

カナちゃんが、嫌だって言ったから…

言い直そうとして……。そしたら………。」


「父さんが、口を挟んだねぇ。」


首が千切れんばかりに縦に振った。

この際誰でもいい。代わってくれ!

話は進まないが、これは……、致し方ない!

ゆらぁ~り…という音がしそうな動作で、

祖父の所へ歩いて行った。



〖あーーーーーーーーーー!!!

思い出したぞ!!その顔!!〗


拍手を贈りたい。

ありがとう。本当にありがとう!!

何とかとハサミは使いようとはよく言ったものだ。

しかも思い出したって!?


「…………何が?」


〖えっ?あっ!!いやっ、それはだな…〗


「ハキハキ喋ってね。」


〖はい。そなたの顔だ。

最後の子が見たと言う、そなたの遺影の顔。

いっ、家に居たのだから…娘の様子は知っておろう?〗


「そうだねぇ。

あの遺影の顔は誰かって、

兄さんに聞いてたねぇ。失礼しちゃうよ。」


本当に居たんだ…。

棺の中の遺体とは別に、家の中に。

気付けなかったな……、そもそも霊感無いか。

気付けてたら、もう少し話聞けてたのかな?



〖これ娘、呆けてないでこちらへ。〗


「え?なんで私?」


〖そなたが見た人間が誰か、知りたくないか?〗


「し、知りたい!!でもどうやって……。」


また何か想像とかするべきなんだろうか?

でもなんとなく顔が違うって感じただけだから、

風景みたいに映せないと思うんだけどな。


〖だからこちらへ。池の側だ。

……そんな目で見るな。突き落としたりなどせぬ!!〗


この神は自分に対する信用がゼロだという事を忘れたのだろうか。

突き落とさないとしても、

蹴り落としたり投げ落としたりしそうなのだ。


〖わかった。先に説明する。〗


「…当たり前なんだけど。」


〖……うむ。我がここの池の水にその男を映し出す。

それを確認するだけでよい。〗


「最初からそう言えばいいのに…。

それだけならまぁ、わかったよ。」




今の説明だと特に危険な事は無さそうだ。

安心して池の側まで歩いて行った。

すると、私の両サイドに祖父と叔父が来て腕を掴んで来た。


一瞬何事かと思ったが、

彼らは私以上に水神様を信用していないらしい。

はっ、ザマァ。………あ…いかんいかん。

本音がポロっと。


〖3世代当主共からの不信感が痛いのだが…まあいい。

それでは映すぞ。般若顔の正体を!!〗



あのポンコツ最後にまた余計な事を!

あ。掴まれてる腕が痛い……。結構痛い。

許すまじ!!!!!

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