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72.奏多の未練

待ってましたと言うような口振りだった。

でも私達は放置をすると決めていたので、

3人揃って無視を決め込んだ。


〖おーーーーい!!!〗



「おじいちゃん達にわからないのなら仕方ないね。

これも最後の子だからって事で解決だろうな。」


「それでいいと思うよ。

僕も見てたけど姉さんと兄さんも微妙な顔してた。

桜庭の呪いにはちゃんと反応してるから、

"結希だから"って事で矛盾も無いと思う。」


「あ!それ!

霊として家にいたってどういう事!?

本当におばけじゃん!!!」


「んー、説明がややこしいけど……聞く?」


教えたそうな教えたくなさそうな、

とても悩ましい顔をしていた。

それほど説明が大変な事なのか、……辛い事…なのか。



「い、言いたくない事なら……別に……。」


そう言った私の言葉の意味を悟ったのか、

2人は困った様子で私に言った。


「言いたくないと言うか、聞きたくないかなって。

一応僕は死んでるからね。

他人の最期の話はキツいんじゃないかって…。

あ。喋る方は……死んだ本人は、

もう大丈夫だから気にしなくていいよ。」


「結希は少し、記憶に触れたろ?

一番最初に感じたやつだ。」


そう言われて思い出した。

堕ちていく恐怖を、動けない悲しみを、死んでいく悔しさを。

助けてと……願う声を……。


「あれ………カナちゃん、だったんだ…。」


「思いっきり聞いてるじゃないか。

………あははっ、恥ずかしいよなぁ。

死ぬのが嫌でビビってるんだ……。

まぁ、それで「おかしくない!!!!」わっ!」


「結希?」



私の叫び声にぽかんとする2人。

私の様子が変わった事は気付きつつも、

その理由がわからないといった様子だった。

腹がたって……しょうがなかった…。


「全然、何にも、おかしくないよ…………。

おかしいわけないよ………。何で笑えるの?

死ぬのが嫌だなんて当たり前だよ!

何も恥ずかしくないよ……。


あれが夢じゃないのなら、実際の記憶なら…、

カナちゃんがおかしいわけない。

あんな事あっていい筈がない。

あんな死に方………許される筈がない。


あんな……っ…あんなの………ないよぉ……」


涙が溢れてきた…。言葉が上手く伝えられない。

悔しくて堪らない。悲しくて堪らない。

こんな事をした水神様が憎らしい。

こんなの……おかしい………!



泣き崩れる私を見た2人は、

戸惑うことなく真っ直ぐに私の側にやって来た。

しゃくりあげる私の背を、ゆっくりと擦った。


「僕もね、ずっとそう思ってたんだ。

死ぬその瞬間、嫌で嫌で堪らなくて、

……未練を残してしまった」


「あたり…っ…まえだよ……」


「僕の死に方っていうのがね?

父さん達と同じ方法だったんだ。池に沈められる。

だから魂はそのまま池に留まる筈だった。

でも突然すぎて受け入れられなかった。

僕の魂は池を飛び出し、未練の元へ向かったんだ。

無意識にね。


死んだ後最初に目覚めたのは、家の廊下だった。」


「ろうか……っ……」


「そう。ずっと見てたよ。

帰ってきた結希や母さん達の事、ちゃんと見てたんだからね?」





え……見てたって……………、

あっ、ちょっと寒気がした。

驚きで涙が引っ込んでしまった。

違う意味の涙は出そうだが……。


「結希ちゃん全然悲しそうじゃなくてさ。

ちょっと寂しかったけど、棺の僕を見たら大泣きしちゃって…。

嬉しかったんだよ。本当に。」


「お前はまた悪趣味な………。」



この馬鹿は、何を言ってるんだろうか…。

悲しくて泣いていた私を見て嬉しくなった?

……………………収まった涙が、また流れ出す。

殴ってやろうかと思った時、叔父はまた語り出した。



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