70.少しの仕返し
〖さあ、きちんと起こしたぞ。〗
水神様は自慢げに胸を張って、私にそう言った。
私の意識が飛んでたのか……。
また私の意識を飛ばしてのか!
何だかムカついてきた。
私は水神様に向かって歩いていく………。
コツッ………コツッ……コツッ…コッ。
バキィィィィィィィッ
ズサァァァァァァァッ
思いっきりぶん殴ってやった。
暴力女だって?はっ!!何とでも。
殺されかけた私からのお礼としては優しすぎるでしょ?
「ふぅぅー。
痛くありませんようにって思いながら殴ったから
手は全然痛くない!
スッッッッキリした!!!」
今までの全ての鬱憤を拳に込めて水神様にぶつけた。
祖父と叔父は目を丸くして私を見ていたが、
我に返ったのか私を叱った…………わけではなく、
私の拳の心配をして側に来た。
あれ?なんで?
「結希、すごい音したぞ!!大丈夫なのか!?」
「まぁこんなものじゃ全然足りないけど、痛くない?」
「うん大丈夫!見て、痛くもないし赤くもなってない。
痛くないようにって思った通り、
本当に痛くないんだよ!!これ便利だよね。」
「僕も想像したら痛くないかな?
流石に自分の心じゃないから無理かな??」
「どうだろうか…、俺もやってみたいな……。」
わかった気がする。
ちょっとした意地悪だ。
よい子は真似してはいけませんと習うあれだ。
2人も……少し怒ってるんだなぁ。
そう思いつつ、話を続けた。
「いいね、私頑張って想像してみるよ!
おじいちゃん達が痛くないようにーって。」
「頼む、頑張ってく〖貴様ら我の心配をしろ!!!〗」
私たちの会話にキレた神様が怒鳴り声を上げた。
心配って、そんなのされる立場じゃないだろうに……。
もう少しだけ遊んでたかったけどしょうがない。
「どや顔がちょっとムカついたのと、
ちょっとした恨みを込めて振りかぶりましたが何か?」
〖何かだと?神を殴るなど何と罰当たりな!!!
いくら…………い"っ…。〗
最初は怒っていたが後半の言葉は殆ど言えないまま怯えて黙り込んでしまった。
そんな怖い顔なんかしてないのに。失礼すぎる!
殴り足りなかったな……。
……顔………何か…違う?
〖桜庭3代の睨みは鬼の形相だな。
人も鬼になる時代なのか………。恐ろしやおそ…!!〗
……学ばないんだろうな、この水神様は…。
それとも敢えてなのか。睨まれたいのかな?
見た目の事について触れようかと思ったが、止めだ。
どのみち池の話を聞きたいから顔は後回し。
それに水神様はドMと来た。ならば……。
しばらく放置!!
「水神様で遊ぶのは面白かったけど、
いい加減おじいちゃんの話聞きたいんだけど。
水神様が来て中断しちゃった話。」
「そうだな。魂が眠る場所、水神の池。
この説明には、桜庭の葬儀システムの説明を先にしよう。
昨日、今日の奏多の葬儀は例外だから忘れていい。」
やっと本題に入れた気がするのは私だけじゃないだろうな。
あ、『自分が殺したと思ってる』話も後でちゃんと聞かないとね。




