64.畔の再会
聞こえた声………おじいちゃんの声は、おいでと言った。
おいでって…どこ行くの?
どうやって戻るの?
カナちゃんいなくなっちゃったのに……。
いなく………なって……。
───結希ちゃん、戻っておいで───
え…………………。
ど、どこ………どこから聞こえ……カナちゃん?
おじいちゃん!!カナちゃん!!
───大丈夫。大丈夫だから。───
も、戻るの?どうやって戻るの?
───想像しなさい。帰る想像を。───
想像………。さっきの場所?…違う。
私の記憶の場所………。
……………………
……………
……
桜…………桜の木……寂しい…場所、
初めて見た………池の畔。祠。
ここだ。始まりの場所。
景色が
変わる
水が
消える
目を開くと、さっきまで居た水の底ではなくなっていた。
青い空と、枯れかけの桜、枯れかけの池だった。
本当に……想像で景色が変わった。
ふと…祠を見た。ボロボロの…ほこ………ら?
あれ、新品みたいだ。なんで?
祠をよく見ようと思い歩き出した時だった。
「「結希」」
後ろから名前を呼ばれた。知ってる声だ。
理解が追い付かなくてしばらく立ち尽くしていた。
死んだ筈の2人なのだ。
今日が葬儀で、もうすぐ法事で…………。
勢いよく、振り返った。
記憶通りの……2人がいた。
これも私の想像で現れたのだろうか。
「おじいちゃん………カナちゃん…………。」
「おいで、結希。」
「久しぶりだな、結希。」
感動の……再会…………
「おばけ!!!!」
「「え!!!」」
「いや、おばけでしょ。あれ、幽霊?一緒か。
だ、だって2人……死んでるし………。足あるけど。」
「結希ちゃん?ここは感動的なハグをする所だよ?」
感動の再会……………とは行くまい。
怪しい。怪しすぎる。
私は2人について想像したわけじゃないのに。
幽霊……なんだろう。
だって2人とも、私が最後に会った姿のままだから。
私の意識は幽霊まで映すのか………。
というかさっきから居たよね?声かけてきてた。
じゃあ私の意識とか想像は関係ない?
「結希!!!」
「わっ!!!!」
私が考え込んでいる間に2人が私の方に来ていた。
いつの間にか目の前にいるではないか。
固まってしまった私を見る2人の目は、
いつもみたいに……優しかった。
懐かしい……顔だった。
「………………なんで、ここに?」
「俺達は、ずっと見守ってた。この池で、ずっと。」
「結希のピンチだから水神様が僕達を連れてきたんだ。」
「水神様??なんで水神様が?」
「………ちょっと予定外な事があったらしい。」
「………………あのタコ何してんの!」
「本当にね。僕だって一言二言くらい言いたいなぁ。」
「……お前達、気持ちは十二分にわかるから
今はとりあえず落ち着きなさい。」
懐かしい……この感じ。
悪巧みをする私とカナちゃんを呆れながら見守るおじいちゃん。
2人がまだ生きてた頃に話をしてたあの感じ。
昔に…戻ったみたいだ。
「…ほ……ほん、もの……なの?」
「そうだよ。2人とも、本物だ。
おばけ………も間違いではないけどな。」
「…ぅっ………うそっ……っ………ほんっ、どにっ
おじぃ……ちゃ…っ……、かな……ちゃっ…」
「うん。ゆきちゃん、久しぶり。」
「さっき………みずっのっ、なかで………
きえ………ち"ゃっ……いなく…………なっ…っ……っ」
「消えたのは、僕だけど僕じゃない。大丈夫だよ。」
「………ばかっ……………ばか……きっ……きらっ…い
とつぜんっ……しん……で……、いなっ…ぐっ……な…て……」
「ごめんね。」
「ゔっ…うゔっ……
ゔあ"ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
『ごめんね。』その一言に全てが詰まっていた。
懐かしくて、嬉しくて……。
悔しくて、寂しくて、悲しくて……。
涙が溢れて止まらなかった……。
おじいちゃんとカナちゃんは、
昔みたいに優しく優しく頭を撫でてくれていた。




