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63.5

奏多と結希の様子を見守る、祖父 明徳は……。


息子は…死んだ………。

こんなに早いとは思わなかった………。



俺が死んでから6年、

あの子は結希と朝倉を見守ってきた。

奏多は特に水神様との同調性が高かったのだろう。

俺は聞いた事がなかった水神様の予言を聞いたし、

川で結希が溺れかけた件で隠れた朝倉も見つけた。

一番、水神様や役割のために貢献した子だろう。


なのに死んだ。

それも、水神様の手によって……。

俺や親父達先代と同じように…水の牢に閉じ込めて。

…………必要……だったのだろう。

最後の子の役割のために。それは、わかる。

俺だってその日のために命を使った。



だがやり方が如何せん雑すぎだ!!

奏多への予言も、昔の言葉も曖昧過ぎてわかりにくい。

奏多の命を終わらせる方法も、もっと他に有った筈なのに。

なぜよりにもよってこの方法なんだ!!!


身代わりとなる時、浄めと臨終を同時に行うため、

水神様の池に落とすのだ、魂をな。

雨の守りを道にするんだ。

池の水の中で、魂の死と同時に肉体も死ぬ。

これは本人が理解し納得した上で行うもの。

普通は生きてる人間に突然やる事では無いのだ。

下手したら死ぬどころか魂が消滅しかねない程危険だから。


身代わり自体は水神様が手を出すわけではなく自動的に行われる。

だが奏多の場合は身代わりではないから、

水神様自身が奏多を殺すためにその手段を選んだ。

どうせ一番楽だとでも思ったのだろう!!

あのポンコツは!!


その結果、最期の感情が恐怖と未練になってしまった。

霊魂としてあるための自我の核に、

水への恐怖が池の水にこびりついてしまった。

そして池に沈められた結希が感じ取ってしまった。

…………本当にポンコツだな!!


結希は……欠片の神様達の手違いだろ?

無理矢理引きずり込んだせいで意識と自我が曖昧になってしまった。

消えてしまうギリギリの所まで行ってしまった。

神というものは、本っ当に(ろく)な事をしない!



奏多は結希に声をかけて記憶を引き出そうとしている。

なんとか、危うい意識を繋いでいる。

奏多と麗花は姪である結希をとても可愛がっていた。

今の危険な状態を何とかしてやりたいのだろう。


そして少しずつ、朧気ながらも記憶を思い出している。

だが結希は、靄がかかっていると言った。

神の力が悪影響を与えてしまっているのだ。

彼らも、帰りたくて仕方がなかった…のだろう。

"神の願い"は、強ければ強い程周りに及ぼす影響も強くなる。

いい意味でも、悪い意味でもな。


結希は頭を抱えてしまった。

奏多もどうすればいいかと戸惑っている。

仕方がない。物を教えるのは得意じゃないんだが……。



    ───落ち着きなさい。

       ここはお前の意識の中だ。───


私がそう言うと奏多は気付いたようだ。

ここに風景として投影できれば何かヒントが掴めるかもしれないと。

今のこの景色……。水の中の景色は結希の記憶にはない場所だ。


ここは………奏多の………………恐怖の記憶。

この池に溶けた記憶だ。

自我が曖昧な状態の結希が、

池に溶けた記憶を感じ取ってしまったから

結希の意識内の風景として表れてしまった。

奏多のためにも出来ればこの風景は変えたい。


自分の記憶の景色じゃない事を理解した結希は、

誰の記憶なのかと聞いてきた。

結希の思う事も充分にわかるがここは流して欲しい。

奏多の記憶を刺激してしまう…。

奏多が答えようとしている。……いけない!


    ───ここはお前の記憶じゃない。

       雑な奴らのせいで混じったんだ。───



1歩…………遅かった。


    ───ここは…………ここ……は………───


『………なんで…………なんで………………しに……た……………く…………………な……。』



リンクしてしまった!!!

2人の動きが止まってしまった。意識が混じったんだ!

このままでは2人とも消えてしまう!!!


〖慌てなくていい。良く見てみろ。〗


声がした。水神様の声だ。

ここには来れない筈なのに……なぜ……。

……いや、気にはなるがまずは奏多達だ。

良く見てみろってどういう意味だ?

さっきと何も変わらないぞ………………変わらない?

混じったのは意識……だけだ。


本来なら意識が混じって少ししたら今の姿を保てなくなる。

だが彼らは、まだ個々の姿のままだ。

踏みとどまっているのか?


〖最後の子は想像以上に優秀だな。

我の尻拭いもしてくれたようだ。

器の子の恐怖や未練を消してくれたぞ。よいよい。〗


尻拭いって………奏多を無理矢理池の水に沈めた事か!!!

…………そうか、恐怖は……未練は…消えたのか……。

だが戻るのはどうするんだ!?


〖器の子は自力で戻ったようだ。最後の子だけで良い。

手助けしてやるから声をかけて呼び戻してやれ。〗


なんだこいつは偉そうに………とは思うだけにしとこう。

今は2人を呼び戻そう。……どうやって?


〖聞こえておるからな。結希といい貴様といい全く……。

神を敬うとは「早くしてくれ」……全く!


ほれ、声をかけろ。〗



    ───……………おきなさい───

    ───……もどってきなさい───

    ───大丈夫だから、おいで。───


    ───結希ちゃん、戻っておいで。───


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