44.脳のバグ、幕間の話。
「結希……あの…………。」
「どうしたの?」
「さっきはごめんなさいね……。
結希にはきっと伝わっちゃったよね、嘘なんじゃって思った事。」
「あー……、まぁ、うん。
でも嘘臭い内容ではあるから正直しょうがないと思うよ。
私も…なんか……自虐っぽかったかなって。
言った後に思ったよ。やっちまったってね。」
「自虐なんかじゃないわ。事実だもの。
誰よりも呪いの事を知らない子だったのに、
本当は誰よりも呪いに近い子なんだもの。
私は心のどこかで思ってたわ。私に害は無い…って。
結希が言った通りの事を思ったの。ダメよね、本当。
ちゃんと……手伝わせてね。何とか、しようね。」
お互い不必要な蟠りは無い方がいいと思っていた。
きちんと仲直り……した。そもそも喧嘩などしていないが。
皆寝てないのだ。そりゃあカリカリもするだろうし疑わしく思うだろう。
そして知らない情報が多すぎる。私も、皆も。
キャパオーバー寸前どころの話じゃないのだ。
寝てない事を考えたら余計にイライラしてしまう。
………考えないようにしよう。
「じゃあ、行動開始って事でよろしく!」
「はいはい。」
私は父と伯母と一緒に叔父の祭壇へ向かう。
そう言えば、棺の中に御神体の木像があったとか。
朝倉さん達の襲来で結局見れずにいた。
まだ入ったままなのだろうか…。
「お父さん、木像って棺を開けた時からあったの?」
「そうだ。結希が母さんと祠に行ってる間に開けようとしたんだが、
厳重に閉めすぎたみたいでな。開けるのに手こずってたんだ。
それで開いたと思ったら入れてない物が入ってた。
それですぐ、菖蒲にお前達の所へ行って貰ったんだ。」
祭壇へ向かう道中、父から詳しい話を聞いた。
御神体の件は神様の力としか言いようがない。
祖母が祠を開けて、私が中の木像を手に取った。
母の知らせで再び祠に戻った時、木像は無くなっていたから。
特におかしな点は無い。無いがやっぱり少し気になる。
玄関で話をしてた時も少しだけ思ったのだ。
私は祠の場所なんか知らなかったし、そもそも行ってはいけない場所だった。
それなのに母は祠に行けた。お茶の時もそう。
いつ知ったのだろう。
父から聞いてた?父も知らない筈だ。
玄関で祠の話が出た時には父も伯母もポカンとしていた。
さっきは祠の中にある石を見に行った。祖母の指示で。
…今はどこに居るのやらだが。
祖母が話した歴史話の中で瑞樹神社と言っていた。
母との関わりはおそらく子孫だろう。母の旧姓名は瑞樹菖蒲だから。
元神職なのか今も神職なのかは不明だが、瑞樹家に伝わる何かがあるのかもしれない。
だから母は祠の場所を知っていた。
瑞樹神社と田牧神社、そして桜庭敷地内の祠。
母と義伯父、父達桜庭3姉弟と重なる。
何かの因縁があるのを感じる。………悪い意味じゃなくて。
瑞樹神社が祀ってる神様が水神様、或いは位の高い水神の眷属……とか?
まぁ想像でしかないが、事実とそんなに大差は無いだろう。
(よし。この件は解決!……ありゃ?)
いやいやいや。
瑞樹神社の辺りからは呪いに直接関係は無い。
母が神職家系なのかもってだけ。ただ気になっただけ。
何かを考えてないと脳の電源が切れそうなのだ。
とにかく眠いのだ。でも寝てる時間は無いから頭を回しておきたかっただけ。
余計な事をごちゃごちゃ考えてたお陰で祭壇のある居間に着いた。良しとしよう。
でもほんの少しは関係のある話だから余計じゃない筈だ。
私は眠くない。




