38.間抜けと本物
「僕が、父が、身代わりとなった桜庭のお二方の命を喰らって生きている……と言うのはわかりました。死んではいけないと言う事も。
…わからない事があります。何故身代わりは桜庭だったんでしょうか?お祖父さんとひいお祖父さんだったのは訳があるんでしょうか?」
山崎さんの理解が意外にも早いことに驚きつつ、質問に答えるのに集中することした。
「身代わりが桜庭だった理由…ですね。どこかの誰かじゃなくて桜庭だったのは何故か?
想像でしか答えるられなくて申し訳ないんですが、桜庭が水神様の守り…というか結界?……一緒か。それがあったから、だと思います。
加えて呪い関連の事象は水神様のテリトリー内に留めておきたかったのかもしれません。
咎を目印に呪い掛けたように、何か水神様に関わりがあるものを目印にしたかったとか。」
「だから……桜庭。」
「そうです。
そしておじいちゃん達だった理由……は…次代がある程度育ってたから…かな?孫の代まで確実に。それか普通に年功序列かな、と思います。」
「そうですか、ありが「それは少し違うわ結希」?」
祖母の急なカットインに、私も山崎さんも驚いた。結構納得行く理由だと思っていただけに余計に。
父を少し見てみると、軽く目を回していた。フッ。
「どういう意味?おばあちゃん。」
「結希が言った理由、それも正しいわ。もう1つあるの。明徳さんとお義父さんだった理由が。」
「………………何なの?」
何となく……聞かなければならない気がした。
叔父や祖父の全てのような気がして……。
それと同時に、聞きたくないとも思ってしまった。
………………私にも……関係がある気がして。
「桜庭だからよ。」
「?」
「山崎さんさっき言ったわね。
隆延は間抜けで、隆延の兄貴と親父と祖父は賢かった。
間抜けだったから、朝倉育築は呪いを掛けようと思った。
隆延程ではないが陽人も間抜けだって。」
「それは…………。」
「いいのよ陽人は気にしなくて。間抜けに相応しい目の回し方をしてるわ。
隆延の事も、歴史書を読む限りかなりの間抜けで間違いないから。」
半分目を回して呆けている父は、祖母の悪口に反応することは無かった。これぞ間抜けだ。
伯母は下を向いて笑いを堪えている。肩が震えてて隠せてないけど…。
「僕は…意識半分で聞いていた感覚でしたが、確かに言いました。
後……各代に1人とも言った記憶があります。」
「そう、それ。桜庭の血筋は大抵間抜け…と言うか善人気質なのね。人の言った事をあまり疑わないとか。
程度の差はあるけど、まぁ"そっち属性"として括っておくわ。」
「母さん、もしかして私もそっち属性ってやつなの?」
伯母は、間抜け扱いの"そっち属性"がよっぽど屈辱なのか、顔を歪めながら祖母に尋ねた。
「………まぁ、…そうね。」
祖母の無情な答えに、伯母は無言で父を叩いていた。呆けた様子の父にはちょうどいい刺激だったようだ。…いや。
(…………痛かったんだな……スゴい音したし蹲ってる。さすがレイちゃん。)
「間抜けは重要じゃないわ。
重要なのは、各代に1人生まれる本物の桜庭よ。
明徳さんもお義父さんもそうだった。
明徳さんの子の代は………奏多。
そして、その次の世代は…………結希、あなたよ。」
そっち属性(間抜け)のレベル
桜庭隆延 < 父 <<<<< 伯母




