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36.繋ぐべきもの

「身代わり?」


「昔は…そもそも20歳を越える前に朝倉家の子供は生まれて父親が死んでいた。そうやって血を繋いできた。穢れた神様の呪いを絶やさないため。


でも時々、呪いの運命を嘆いたのか自分の代で絶ちきろうとしたのか分からないけど、自分で命を終わらせようとする人が現れることもあった。

それは叶わなかったけど。」



知らない事の筈なのに…。知ってるみたいに、見てきたみたいに口から言葉が出てくる。


「呪いを絶やすことは許されなかった。朝倉子孫が自分で命を絶とうとしても出来なかった。死ねなかったの。奇跡のように元気に目覚めた。」


「医者も言った…。家族と一緒に即死してた筈だって。万が一助かっても障害が残ってた筈だって。奇跡としか思えないって……。」



「そう、奇跡。呪いの奇跡。正確には、奇跡的に生き残ったんじゃなく、誰かが変わりに死んだの。

そんなに多くはないけど、過去にも何回かあった。朝倉の変わりに桜庭が死ぬ…と言う事が。

山崎さんのお父さんの時は、ひいおじいちゃん。

山崎さんは……おじいちゃんだった。」


「おじいちゃんも父さんも……病気じゃなかったってこと?」


「…………そう言う事。

おじいちゃんはそれを知ってたから自分の死期を予想したし、予想通りに……。」



祖母の事が気になって見てみると、意外にも冷静で私の方を見ていた。目が……合った。


「結希もやっぱり桜庭なのね……。」


「?」


「明徳さんの事は一先ず以上かしらね…。何か気になる事ある?」


「……本人を前にこんな事を言うのは悪いと思うんだが……父さんが………代わりに死ななかったら……どうなってた?」



父の疑問は当然の物で、山崎さんも少し思うところがあったのか俯いてしまった。

私と祖母がどっちが言うか目配せしてしていた時、口を開いたのは義伯父だった。


「もしお義父さんが身代わりになっていなかったなら、今も元気に生きていたかもしれない。」


山崎さんを追い詰めるような事を言い出したので、さすがに止めようと思った時続けてこう言った。


「そして、桜庭の呪いと朝倉の呪いは永遠に解かれる事無く両家の血は途絶えていた筈です。

そしてこの地に祀られる水神様も、故郷を望む神々も、目覚める事無く消滅していたでしょう。」



全員の視線が義伯父に向けられた。祖母も含めた皆が義伯父の言葉に驚きを隠せないようだ。

祖母の場合は…なんで知ってるんだとでも言いたそうだ。


「なぜそう思われたのか聞いてもいいですか?」


遠慮がちに聞いてきた朝倉の質問は、父も伯母も持っているものだった。義伯父はゆっくりと話し出した。



「その質問の詳しい答えは、俺よりお義母さんか結希の方がいいだろう……。」


「!?義伯父さん丸投げは良くないよ、ちゃんと答えてよ!」


私は義伯父に文句を言ったが、特に気にしていないのか私の肩を叩いてこう言った。


「俺は今までの話を聞いて想像しただけだ。特に何かを知ってるわけじゃない。唯一知ってるとしたら、血を媒介にした呪いは血によってしか解呪も不可能な事だけ。神職の先輩達から聞いた話だけどな。

だから俺の話を元にした結希やお義母さんの方が詳しいと思ったんだ。そうだろ?」


「……………まぁね。」


「俺は少し居間に行ってくる。御神体が少し気になるからな。すぐ戻るから話は進めてていい。」


義伯父はそう言って去っていった。去り際の言葉が少し気になるが、一先ず話に戻ろう。

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