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34.おじいちゃん

静かに涙を流す育築に衝撃を受けたと同時に、

彼の事を初めて人間として見れた気がした。


まぁ…やって来た事を考えると涙ひとつでどうこうなるわけではないが。

彼が落ち着くまでは、伯母達の内容整理に充てられるだろう。


「結希ちゃん、1個いい?」


「なぁに?レイちゃん。」


「ちょっと整理が付いたから気付いたんだけど……あんた、伯母さんって言ったでしょ!

伯母さんと呼ぶなって前に口酸っぱく言ったよね!?」


「そんな事言ってな…

     ~~回想~~

  《レイ…か伯母さんが言ったように》


…………言ったね。ん"ん"、ごめんなさい!!!

人様の前でどうしようって迷っただけなのに…。

"麗花さん"なんて余所余所しいからどうだろうって…。」


「誰の前でも"レイちゃん"にしなさい。いい?

百歩譲って"伯母"までいいわ。フォーマルならこっちね。」


「…はぁーい。気を付けます……。」



「あの、もう大丈夫……です。」


私達がふざけている間に育築は復活していたらしい。見られていただと。

無かったことにする祖母を見習うべし。


「えーと…、はい。大丈夫ついでにもうちょっとだけ質問していいですか?」


「どうぞ。」


「年齢聞いてもいいですか?」


「はい、26歳です。」


「やっぱりそうですか…。

じゃあ、6~7年前に命の危険を感じる事はありましたか?」


「良く分かりましたね!事故で…母と祖父を亡くしました。俺、私自身も生死の境を彷徨って…。

この時に、朝倉育築の記憶と昔から見ていた夢が一致したと言うか馴染んだと言うか。

父と祖母が早くに死んだ事もやっと腑に落ちたんです。」


「…うん。予想通りかな。

あ、いやご家族亡くした事とかはさすがに予想してないですよ。死にかけた経験があったって事だけね…。

それより口調辛くありませんか?さっきまで…。」


「今の感覚は山崎樹です。二重人格とはまた違いますけど今はこんな感じ…ですので辛くは無いです。」


「ならいいんです。何で年齢とかを聞いたかって言うとですね、」



私が説明しようと思った時、祖母が質問の意図に気付いたようで震える声で私に話しかけた。


「……結希今の質問は…。」


「うん。おばあちゃんの思ってる通りだと思う。」


「そう……そうね………やっぱり………っ。」


祖母は溢れる感情を必死に抑えようとしていたが、内容が内容なだけに無理だったらしい。壁に背を付けて座り込んでしまった。

泣き崩れる事だけはしないよう、グッと口を結んで耐えている。


「おばあちゃん、この質問はここで終わりにしようか?」


「いえ……そうね…。

っ。いや、続けて頂戴。」




あまりの祖母の様子に父も伯母も義伯父も戸惑っていたが、話がこのまま続くことがわかった時に3人は祖母に寄り添うように隣に座った。

朝倉さんは意外と穏やかだった。その様子を見ると、何となく察していたのかもしれない。


「なるべく早めに済ますからね。じゃあ「丁寧に!」

でも辛いでしょ?おじいちゃんの事だもん。」


「おじいちゃんの事だから、丁寧に、きちんと聞きたい。」


「わかった。」


祖母の気持ちを汲んで、ちゃんと話すことにする。

山崎や家族達は知らない、祖父の真実を…。

祖母は気付いていた、真実を…。

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