23.本性
「朝倉さん、続きを話してください。
私達にもまだ話していない事を。」
「私が出来る話は一通りお話ししたので
山崎くんと交代しようと思っていました。」
「そうだったの。じゃあ山崎さん、お願い。」
「あ"?不味い茶出されて気が削がれたんで話す事は無いです。」
「山崎っ!!!!!」
山崎の態度はあきらかにおかしくなっていた。
普段の事は知らないが、夕方初めて会った時はもう少し丁寧だった。
何故?そもそも不味い茶って…あのお茶?
「山崎さん不味い茶って?」
私が聞きたかったことを祖母が聞いてくれた。
「今出されたこれだよ!ドブ水でも使ってんのか!?
茶碗だってなんだこれ!?
茶渋まみれできったねーな!洗ってねーのかよ!」
彼奴は何を言っているのだろうか。
味はそれぞれの感覚だろうが、茶碗は来客用の一番綺麗なやつだ。
たとえ汚かろうが割るのはおかしい。イカれてるのだろうか。
そう言えば見えない壁で此方へ来れなかった時辺りから……。
「大変失礼しました!!!私の教育不足です!!!」
朝倉が土下座で謝った。
これは流石に朝倉が謝る事ではない。
「話がないなら構いません。
どうせ此方にも来れないしそのまま帰っていただいて結構です。」
祖母は山崎の態度をまったく気にせずそう言った。
父と伯母は怒っているようだが母と義伯父は無表情だった。
「ほら帰っていいですよ。さあ早く早く、さあさあさあ」
祖母の帰れコールに少しだけ笑いそうなのをグッと堪えた。
ポーカーフェイスは大得意だ。
そう思っていたら山崎の意識がこっちに向いた。
「結希さん!結希さん!助けてください。ここから先に進めなくて困ってるんです。何とかしてください、お願いします!お礼は後からいくらでもしますから早く!早くしてください!」
「ヒッ」
見えない壁に張り付いて狂ったように私に声を掛けてきた。
そんな山崎を見て、朝倉は山崎の所へ行こうとした。
「朝倉さん、行ってはいけません。」
「なぜですか!
あんな…あんなのは外に連れ出さなければ、お孫さんが危険です!」
「大丈夫です、ここにいて下さい。結希は大丈夫ですので。」
「いやしかし…」
「山崎さんはあそこから動けません。少し喧しいですが、
気にせずに話を………
いや、私達からの質問形式でもいいですね?
わからなければわからないでいいので。」
「テメェらシカトしてんじゃねぇぞ!
ここ通せ!!開けろ!!!
おい結希!テメェ何とかしろっつってんだろうが!」
「朝倉さん、貴方は麻生の血筋とおっしゃいました。
ではすり替えを行った本当の朝倉はどうなっているか知ってますか?」
祖母は山崎の罵声を綺麗に無視して話を続けた。
「本当の朝倉については……あの……
嫁入りの所までしかわかりません………えっと…」
山崎を気にしながらも祖母の質問に答えていた朝倉は、
どうしても気になるのか祖母と山崎を交互に見ていた。
「母さん、この状況説明してくれないか?
気になって話に集中できないよ。」
父は私を背に隠しながら祖母に尋ねた。
祖母は仕方ないと言うように説明し出した。
「さっき皆お茶飲んだでしょう?
祠の池の水で淹れたお茶によって、呪われた人を炙り出したの。
桜庭と朝倉の呪いを受けた血族をね……。」




