20.自己満足
「それは、お孫様の件がきっかけです。」
「………私?」
「はい。私都合で麻生さんの害意を大きくさせてしまったと、
お孫様の危険に繋がる可能性を深めてしまったと思いました。
夢の内容で理解したのは朝倉への呪いと、その他破門された家々へ咎の烙印を媒介とした罰の存在です。
これ以上罰は重くしたくないという、自己満足に過ぎません。
赦していただけるとも思いません。
ただ懺悔を聞いていただきたかったのが理由です。
こんな時間なのは……
奏多くんがお骨になる前にと気が急いてしまいました。申し訳ありません。」
「僕が誘ったんです。」
今まで黙ってた山崎がついに口を開く。
「朝倉さんがすごく落ち込んでて…。
葬儀はご家族だけって事なのでこんな時間ですけどもしかしたら起きてるかもしれないって。」
「………朝倉さんは麻生で、最近朝倉と桜庭について知って、
きっかけはどうあれ何らかの謝罪をと考えた。
という理解で構いませんか?」
山崎の言葉を無かったものとした祖母が朝倉へ話しかけた。
「その通りです。赦しを頂こうなんて厚かましい事は微塵も思っていません。
罪に対する罰は当然受けるべき物だと思っています。」
「じゃあここまでの話しが、
結希達が来る前に話した内容…と。
これからは私達もまだ聞いていない話と行こう、
いいよね母さん」
「ええ…」
父が祖母に尋ねると祖母は頷いた後に続けて言った。
「そろそろに立っているのも疲れたわ。中で話を聞きましょう。」
祖母がそう言った途端、全員の視線が祖母に集中した。だって中には……
「母さんおかしくなったの!?
こいつが家の中に入れるわけ無いじゃない!
だからここで話してたんでしょう!!」
伯母はヒステリックな声を上げ祖母に食って掛かった。
キーキーと喧しい声ではあるが、言ってる事自体は正論なのだ。
「麗花お黙り。今は夜中でしょう、ご近所迷惑だわ。」
「こんなに叫ばせてるのは母さんでしょ!?
そもそもこいつら 「麗花」 っっっ!!」
「わかってる。わかってるわ。」
「じゃあなんで………。」
2人の様子を不思議そうに見つめる男達と伯母に味方するように寄り添う母の姿を見て、
私は男女で綺麗に分かれたなーなんて事を考えていた。
「中に入るのは私達だけよ。
いい加減立ち疲れたの。年寄りは労って頂戴。」
「……………年寄りだなんて思ってもないことを。」
「結希ちゃん何か言った???」
「な、何も言ってないよ言うわけないじゃない。」
(恐るべし地獄耳………どこが年寄りなんだか…)
余計な事は言うまいと口を噤んだ私を暫く見つめた後、祖母は玄関へと歩き出した。
「早く皆も入りなさい。」
私達にそう言った祖母は、
そわそわとどうすればいいかわからない様子の朝倉と山崎を見て言った。
「お2人は…そうね………玄関前の段下まで来て頂戴。」
「「…わかりました」」
そう言って朝倉と山崎は立ち上がり、ゆっくりと歩き出した。
数歩進んだ時、2人の足が止まった。
「お2人ともどうしたの?早くこっちにいらっしゃい」
「母さん…だからあのね?あの「来れる筈よ。」??」
「私の予想が合っていて、正しく懺悔をしたならば、来れる筈なの。
……………麻生なら。」
「???」
「まさか……」
まだよくわからない様子の父達とは違い、伯母と母は何となく理解したようだった。
そう、神に拒絶され呪われたのは"朝倉"。そして朝倉さんは麻生の血筋。
鳥居を潜れないと言うのは事実だが、麻生も朝倉と同じ破門された一族。
業が深い麻生家の者ならば辻褄が合う。
そして…………。
「いいから感情は置いといて足を動かして。
台風の日だって危険ではあるけど行こうと思えば行ける筈よ。さあ早く。」
「「…………わかりました。」」
覚悟を決めた2人は、揃って足を踏み出した。




