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01.いつもの事

桜庭結希[ゆき](23)

桜庭奏多[かなた] (37) 叔父。故人

また怒られてしまった…。

何もしてないのに、ただ突っかかりたいだけの理由で。


理不尽にも程がある。

お茶くらい自分で入れろ。

ミスをしたのは自分なのに、人のせいにしてグチグチグチグチあーーームカつく!!



「桜庭さんまだー?」


麻生課長の声だ。

また変なこと言われる前に持っていかないと。

セクハラがないだけマシなのだろう。

……マシなのか?


「お待たせしました、お茶です。」


「まったくもっと早くできないの?喉が渇いて死にそうだよ。」


「すいませーん課長の仰る温めのお茶にするには1から沸かし直さなくてはいけなくてー。ケトルのお湯で入れたら熱いと仰ったんで。」


「…まぁいいや。さっさと仕事に戻ってね。」


「失礼します。」


殴り飛ばしたい気持ちをなんとか抑えてデスクに戻る。

今日の仕事は終わっている。半休も取っている。

後は帰るだけなので、鞄を手にして立ち上がる。


「お疲れ様でした。お先です。」


同僚に声をかけていると、課長が話しかけてきた。



「なんでお前帰るんだ!まだ定時でもないだろう!」


「……半休を頂いているのですが。」


「そんなもん知らん!なんで勝手に半休にしてるんだ!」


「昨日書類を提出しましたしサインも頂きました。

美香ちゃんとやらとお話し中ではありましたが。」


「!!ひ、人の電話中に話しかけるとは非常識な奴め!」


「お話し中なので待っていたら課長が気付いて下さってサインを頂きました。

旅行の計画中だから暫く話しかけるなとも言われました。」



面倒くさいやり取りなんか終わらせて早く帰りたいのに、今日は一段と口うるさい。



今日は叔父の通夜なのだ。

よく遊んでくれた叔父だった。

まだ年若い叔父だが、仕事場での事故で逝ってしまった。

今日の半休と明日明後日の有給を取り実家に帰る。

忌引きでもよかったのだが、また文句を言われそうなので有給にしたのだ。



「いいからさっさと仕事しろ!」


「半休なので帰ります。お疲れ様でした。」


「貴様クビだからな!」


「課長に解雇権限はありませんし、有給を取ったことも部長や専務に報告済みです。失礼します。」



本当にたまたまだが昨日エレベーターが一緒になった際、課長のサイン済み書類を渡していた。

もちろん事情も説明済みだ。

なので課長が何を言っても意味は無いのだがいつも以上に疲れてしまった。



こんな事、いつもの事なのに……。









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