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130.隠し戸の先

戸を潜った先にあった部屋は、

休憩所内より更に埃にまみれていた。


これは夢なの。こんなに汚い部屋も平気なの。

埃もカビも私に影響は無いの。

…そう心の中で繰り返し唱えておく。

鼻炎持ちではないけど流石に咳き込みそうだから、

自己暗示で何とか凌ぎたい…。


埃まみれの室内を見回した時、嫌な感じがした。

あの水源と同じ感じ。同じ臭い。

少しずつ強くなっているような気がする。

入った時は、埃臭くはあったけどこんな臭いは無かった。

この事を急いで木の神様に伝えよう!



「この部屋、水源と同じ臭いがしてきたの。

この部屋のどこかに、術の手掛かりがある!」


〔なんだって!?

どこからなのかわかる?例えば、臭ってくる方向とか。〕


「いや、私が入ってから臭い出したからはっきりとした場所は…。」


一応確認のために壁沿いに部屋を歩いてみた。

また変な物に触らないように壁には触れずに!

やっぱり、特に強い場所は無い。全体的に臭いのだ。


〔君が入ってから…か。

外に出てていいよ?辛いでしょ…?〕


「うん、でも私も調べたい。

黒くない分マシだし、何か見つけられる気がする。」


〔そう?でもどうしても駄目なら出なよ。〕


心配してくれてるんであろう様子の神様は、

私に続けてこう言った。


〔君が無理して倒れて帰れなくなったら

ぼくも小さい子達も困ってしまうからね。〕



……それはそう。

そうなんだけど、何かムカつくな…。



私は机周り、木の神様は棚を調べていた。


「ここ、結構机とか棚とか残ってるね。

やっぱり隠し戸からは出せなかったからかな。」


〔だろうね。

それと、隠し戸自体誰にも知られたくなかったのかもね。〕


「そっか。隠し戸だもんね。」


そう言いながら調べていくが、

卓上にあるのは埃と数冊の本だけ。

1冊の本に何かが挟まっている。栞か何かだろうか?


取り敢えずこの本は後で見るとして、

残りの本は…枕……草……、平…家…物語。

他のは…知らないや。


「枕草子に平家物語。

すごいな……あ、け、ほの…。

平仮名しかわかんない、もういい!」



少し開いて見てみたが、

さわりの部分しかわからなかった。

学校で習ってなければ平仮名部分すらわかったかどうか…。

読めはしないけど、

全ページを捲って変なものが無いか確認していく。



〔読めてるじゃん。文字。〕


「これは読めてるんじゃないの。

知ってる言葉だったからわかっただけだよ。

んー、この本は特に何もなさそう。」


〔そんな雑でいいの?〕


「良くないけど、読めないから。

私はこっちの本みたいに、

何か挟まってる物を主に探してるの。

内容は…木の神様読んでよ。


あぁそうそう。

物が挟まってたこっちの本は、表紙が無題だった。

中見ても殆どわからないけど、

枕草子と同じ"あけぼの"部分は書かれてた。

多分心に残った部分を自分で書いた本じゃないかな?

平家物語の始まりの部分と同じ内容も書かれてたし。」


〔ちょっと見せて。〕


無題の本を木の神様のに渡して、

机周りの最後の確認をする。うん、もう何もないかな。



枕草子に平家物語…。

桜庭の呪われた時代がはっきりしなかった…。

でも前に池に映った人達の服装も合わせて考えると、

鎌倉時代から室町時代頃…なのかな。

……まぁ時代はこの際いいや。


この枕草子って、写本だよね?

写本だってそう多くはないだろうけど、

歴史については教科書レベルでしかわからない。


「木の神様は棚、もう調べ終わったの?」


〔後少し端の部分が調べられてない。

代わりに調べてくれる?〕


「いいよ暇だし。調べとくね。」






棚には大小様々な引き出しや扉があった。

端って言ってたけど、

木の神様が本を見終わるまで調べとこう。

端から順に行けばいいでしょ。


当然ではあるが中には何も残ってない。

まぁこの作業は何もない事の確認みたいなものだから。

でも何か気になるような、気がするのだ。何だろう?

時代劇とかでよくあるのは、

棚の裏に悪代官が何かを隠すとか。……あるかな?

右側から押してみても何もない。

次は左側。どうせ何もないだろうけどさ。



左側から勢いよく押してみたら、棚が…動いた。

隠れてたのは……置物?

謎の置物……。骨董品は全くわからない。

いつも通り、木の神様を呼びに行こう。


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