12.神の約束
「呪いってどういう内容だったの?」
「隆延に掛けられる筈だった呪いは、
一族郎党皆殺し。」
「………生きてるけど」
「筈だったって言ったでしょ。結局無理だったの。
力を利用された神様達の必死の抵抗もあってね。
じゃあ実際に掛けられた呪いは何なのか、実際は良く分からないらしいのよ。」
「はぁ!?
ずっと桜庭の呪いとか言ってたのに何それ!!」
「当時はね。結希ちゃん落ち着いて頂戴。」
(今のはお義母さんが悪いと思う)
「じゃあ何だったの」
「遠い未来に一族の血が消える事。
一族郎党皆殺しを、長い時間掛けて成就させる事と言うのが
桜庭隆延に実際に掛けられた呪いなの。
隆延本人のには今すぐの実害が無いので、
早めに土御門の当主の元を訪ねる事にしていた。
隆延よりも、
呪いを掛けた張本人に反された呪いの方が強かった。
隆延の目に映ったのは、身体中から血が吹き出している育築。
呻き声を上げながらのたうち回り、血塗れの状態で喉をかきむしる。
隆延は呻き声の中に微かな言葉を聞いたの。」
──────
『朝倉は世に1人しか必要ない。たった1人で背負い苦しめ。安倍の咎がある内は、決して消えない呪いとなれ。安倍の咎が消えた時、朝倉の血は地獄へ堕ちる。』
『私のかわいい子達よ、最後の子を守り抜け。耐え抜け。我らが目覚めるその日まで。我らが呪いを償うその日まで。
桜の畔の小さな池で清めながら待ちなさい。』
その言葉を最後に、呻き声は聞こえなくなった。
育築は体を丸めた姿で意識を失っていた。
かきむしっていた喉を覗くと光るものが見えたが、
すぐに取ることは出来そうもなかったので、
土御門の当主に連絡を取ることにした。
──────
「急なマジ展開で付いていけないんですけど…」
「朝倉"さん"と呼ばない理由はわかった?」
「よーくわかった。もう呼ばない。
鳥居を潜れない理由も、神様が怒ったレベルじゃないね。あの人達は神様に呪われたんだ。
その後土御門の当主さんとの連絡は取れたの?」
「取れた、と言うより土御門の当主の方から既に連絡が来たらしいわ。」
「何で?」
「破門した家から陰陽師関連の資料を処分するために家に言ったら
朝倉育築の子供達、父、祖父が血塗れで倒れていたそうなの。
奥さんとお母さんだけが座り込んで呆然としていたって。」
「神様の言葉通り…血縁は1人だけになったんだ」
「そう。奥さん達はあくまでも嫁であり、血の繋がりは無い。
呪われたのは朝倉の血だった。朝倉…清治の方も、天涯孤独なのよ。」
「…桜庭は?桜庭もすぐじゃなくても一族の血が消えるって、
でもまだお父さんとレイちゃんがいる。」
「結希ちゃん1人忘れてる。」
「誰?カナちゃんはもう…………え、私?」
「私が最後の子って事なの?守り抜けって…。
私が子供を産めば最後じゃないよ!」
「あのね、後もう少しだけ続くの。聞いてくれる?
本当にもうちょっとだから。」
「………………うん……。」




