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106.届かない場所


光がゆっくりと消えていった。

その場に佇む神様は、地面に触れて呪文を唱え出した。

その時だった。


     ───ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


地響きがした。地面が小刻みに細かく揺れている。

何かに共鳴しているような、そんな感じだ。

おそらく中心は木の神様…と椿の木。

呪文で何かしたのだろうか?

すごく集中してるようだけど、大丈夫なんだろうか?


しばらくすると、揺れは収まった。

周りの様子は特に変わっていないようだ。

人はいないから被害も無いだろう。


白い服の一団は、もう帰ってるよね?

……大丈夫だよね?心配なんだけど。


「今、何したの???大丈夫?これ。」


〔大丈夫だよ。もう少し待ってて。〕


「大丈夫…ならいいの。

じゃあさ、私小川の神様に合う物探してていい?

すぐそこら辺で。そんな遠くまで行かないから。」


〔いいよ。終わったらそっちに行くね。〕



その場を離れて、枯れた川まで戻ってきた。

若木の神様は土の下の根でなんとかなりそうっぽいし、

今度は小川の神様の目印探しだ。

…といっても、ちょっと目星がついてるんだよね。

そのために枯れた川の中に入って探さなくては。

いい物あるといいなー。


私が今何を探しているかというと、

それは"石"。水流に流されて角が削れた丸みのある石。

この小川の流れで丸くなった…って事でいけるかなって。

駄目ならまた探せばいいし、

良さそうな物だけいくつか見繕っておこう。


木の神様だって木に関係ない石の欠片が御神体だから

いけると思ってるんだけど…。どうだろうか。

水晶みたいな特殊な石…かな?

ま、探すだけ探してみよう。



遠く離れすぎないようにちゃんと確認しなきゃね。

そもそも離れるってどのくらい?……わからん!


あまりこの場を動かないようにして、

地面を軽く掘りながら石を探してるけど見つからない。

やっぱり石では駄目なんだろうか?

そして木の神様はまだ終わらないんだろうか?

どこまで行っても平気か聞きに行こう。



「…………………。」


「………………は?」


顔を上げると、人がいた。

見覚えのある顔、さっき見送った顔だ。

櫻木神社の神主さんだ…。

え?なんでここにいるの?

帰ったんじゃないの?

また私神様になるの?

何か言った方がいいの?

なんで何も話さないの?


パニックだった。

どうしたらいいかわからなかった。

もしかしたら、向こうも同じだったのかもしれない。



ふと、彼のいる場所を見てみた。

私と同じ、枯れた川の中だ。

彼の足下、彼が踏みしめている地面の中。


直感だった。そこだと思った。

そこに小川の神様の目印となる物があると感じた。

それと同時に、これ以上進んではいけないとも思った。

ここから1歩でも進めば、木の神様は消えてしまう。

そう思ったのだ。


木の神様を呼びに行こう。

もう妙な儀式は終わっているだろうから。

そう思って踵を返した時、彼は私に声をかけてきた。


「あの、さっき会った方……ですよね。」





困った。非常に困った。どうしよう。

聞こえないフリする?

でもさっき神社で話したから駄目だ。

シカトしちゃう?

いや、でも流石にそれは…。

彼に背を向けたままどうしたものかと考えていると、

いきなり肩を掴まれた。


「大丈夫ですか?」


「え、あ、だ、大丈夫です。」


いけない!つい、答えてしまった!

これでシカトの手は無くなった。…仕方ない。


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