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09.恨みの根

「凡人の僻みは怖いねー。」


「凡人なら良かったんだけどね…。

凡人どころか結構すごい人達が柵拉場を広めたんだ。」


「誰?」


「陰陽師とか道士とか、所謂本物の人達。

といっても直系や直系に近い傍系じゃなくて、

傍系とも呼べるかわからない位の傍系の家の人達。


安倍晴明が一番有名だけど、そういう家系の人達にはどうしても負けてしまう。

そもそも桜庭家はそこと勝負しようとは思ってもいないんだけどね。

家としての歴史が違うし、ジャンルが違うのよ。

パンとご飯みたいな。」



「……分かりにくい!けどなんとなくはわかった。

ところでまだ歴史の授業は続く?」


「もう少し続くわ。さすがの私も何度も話すのもくたびれるからね。

ある程度全部一気に行かせてね。」


「そりゃそうか、納得。じゃあ授業をお願いします先生。」


「はい、続けます。

…えーとどこまで話したかしら?」


「陰陽師とかの傍系中の傍系に僻まれてた。」


「そうだったね。」


私以外寝てると思ったが、意外と伯母達も起きて話を聞いていた。

寝ずの番にちょうどいいのだろう。



「陰陽師はそもそも人ではない物の対処をするのがメインだと思われがちだけど、

占いや星読みが本来の仕事なのね。多分。

人ではない物の対処もしてたのかもしれないけど、

詳しいことは私も知らないからそこはいいの。

占いとかの方を前提にしておくわね。」


「ジャンルが違うんだっけ」


「そう。桜庭が行っていたのは災害の予知といっても、

大災害なんてそうそうある訳じゃないし、大雨レベルが殆どで、

あくまでも人材育成がメインなの。

育てた人材をスパイにするわけでもなく、優秀な人材を提供するだけ。

普段に限れば優秀な人材なんてどこの城も家も欲しい物だからね。

スパイを疑われたとしても、送り出した人材が桜庭家と連絡を取ることはほぼ無い。

あるとすれば年末年始の挨拶回りで、個別で話したりもない。

そもそも教育を行う時に一番に教えるのが、

"桜庭を出たら他人も同然。恩返しは挨拶で十分"

これを文字より先に教えていたの。」


「怪しまれない事も格に繋がるもんね。」


「そう。だから陰陽師とかとやってる事は殆ど違う。

それは陰陽師だけじゃなくて他の"本物"の人達もちゃんと理解していた。

人材育成・直近の天気予報・大災害の予想だと。

何なら陰陽師の家系にも桜庭から来た家人もいるからね。」


「じゃあ何で僻みに繋がるの?」


「近しい傍系までの人達は、直系の方針や考えを知ってるから問題ないけど、

傍系とも呼べるかわからない位の傍系の人達からしてみれば、

自分達も家人になりたいのに桜庭に奪われた、とか

傍系の陰陽師としての力より桜庭の災害感知能力の方が上で悔しい、とか

そんな感じだと思うのね。

それは陰陽師等の傍系、だけじゃなくて武家の家臣の家臣とかが桜庭を目の敵にしていた。

でも表立って言えないから変な名前にする程度に留めていた。

それでも少しずつ、やり場の無い恨みは積み重なっていったの。

誰がどう見ても逆恨みなんだけどね。」


「現代の就職争いと同じだね。」



「柵拉場の成り立ちは大体こんなものかな。」


「うん、半分くらいはわかったよ。」


「もう半分は?」


「呪いとの繋がりはどの辺かなって。」


「そこはもう話してるわ。

大体の呪いは負の感情が元だもの。

柵拉場と言う不名誉な当て字もその一つ。」


「じゃあ桜庭家を逆恨みする人達も…」


「そうね。

恨みの根、とでも言うかな。」


「恨みの…根。」

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