一話 『片想い』
これは、花川愛瑠と臺坂リリアが加西海斗に好きになってしまった。二人が海斗の事を好きになったのは全く同じことだった。そうそれは.....
俺は、ある幼馴染に恋をされている。別に、嫌いとかではないが、異性としては好きと言われると実はそうではない。なんというか、愛瑠は親友的な感じなんだよ。
なぜ、好かれてるかというと、俺が愛瑠と一緒に帰っており、少し靴紐がほどけて、直してる間に愛瑠の方めがけて、車が突っ込んできた。
俺は、すぐに愛瑠を力強く押して、愛瑠は愛瑠は何事もなかったが、俺はというと、普通に十メートルくらい吹っ飛ばされて、頭を強く打った。
でも、そこまで脳には異常がなく、二週間で退院できた。
愛瑠は、かなりショックを受けていたが、今では、すごく俺に密着してくる。
なんでだろうなと考えていたら、ある結論に至った。
俺の事が好きになってしまったんだと。
実際本人にも聞いてみたところ、顔を朱くなっていたので間違いない。
正直、密着されようが、別に漫画とか見たいに柔らかいものが当たってる、なんてことはない。むしろ、愛瑠は....
「いま、なんか失礼なこと考えてたよね?」
「い、いえ。愛瑠さま。わたくしは決して愛瑠さまの胸が小さ.....」
「...フッン」
「ガッハ....」
俺は、腹に正拳突きを喰らい、その場で意識を失った。
このように、とても凶悪な少女なので俺は好きになれないのだ。
でもしいて言えば、顔は俺好みだけどね。
そして、もう一人俺を好きな奴がいる。
それは、国民的アイドルのアイリこと、臺坂リリア。
なぜ、俺を好きになっとのかというと、多分助けたからだろう。
そうそれは、とあるライブの握手会のとき。
俺の前の人がやたら握手をする時間が長かった。
「あの、もう時間なので話してもらえませんか。」
「やだね。僕は、アイリちゃんと一生手をつないでいたいからね。」
「離してください!」
アイリは、その大柄な男から手が離せなく困っていたところに、俺が助けに行った。
「おい、お前。アイリちゃんが困っているだろう。離してやれって。」
「黙れ!俺は、やっとアイリちゃんの握手券を手に入れられたんだぞ!」
「それが何だっていうんですか。みんな平等に時間を守ってるんですし、それに、この中にもあなたと同じ人は沢山います。ですから───」
「ごちゃごちゃうるせーーーー!」
男はそう言って俺に殴りかかろうとしたが、俺は背負い投げ押した。
かなり大きくて体重もそこそこあるが、正直俺にとっては朝飯前だった。
そして、男は警備員に拘束された。
「あ、あの、ありがとうございます。とても、その、か、かっこよかったです!
!」
アイリのその屈託のない笑顔を見て俺は、可愛いなと思ったが、そこまでどきどきしなかった。
なんでだろう。
普通の男なら、恋に落ちる場面だが、俺は全くそんなことはなかった。
「ありがとうございます。ですが、あんまりそいうことを言うと、勘違いされますよ?」
「勘違いとかじゃなくて、その、私、あなたのことが好きになってしまったんです!」
なんということだろう。あの国民的アイドルが俺を好き...だと?
当然会場内は騒然としていた。
多分これ、明日ニュースになるな。
それから、アイリはスタッフに止められ、俺はなんとか刺されずに、無事家に帰れたのだった。
やはり、俺の予想は的中しており、全国ニュースとなっていた。
『国民的アイドルのアイリさんが、ファンの方に助けられ、告白をしたとのことです。』
そう言って、俺の顔がニュースに映った。
思わず、飲んでいたお茶を噴き出してしまった。
目の所には黒で塗りつぶされているが、正直うちの学校のクラスなら多分一発で分かるだろう。
それから、俺は家を出て学校に向かおうとしていたところ、偶然愛瑠と出会った。
「海斗。アイリちゃんに告白されたってマジ?!」
「うん。でも、好きと言われたら正直、異性としては見れないかな。」
「そうだよね。」
愛瑠は少しホッとしていた。
そして、しばらく歩いていると、黒い車が俺たちの前に止まった。
そして、扉を開けて出てきた人は....
「え、アイリちゃん!?」
愛瑠が急に大声を上げた。
そう、俺が昨日助けた、今話題の、アイリだ。
「海斗君、昨日はすみませんでした。でも、本当に私は、海斗君の事が好きなんです!この気持ちに偽りは一切ないです。」
俺、いつアイリに名前名乗ったけ?
「でも、気持ちだけもらっとくよ。俺は、アイリのことは正直異性として見れないんだよ。」
「そうなんですか、わかりました。それでは、海斗君が私を好きになってもらえるように私、たくさんアプローチしますね♡」
「ダメーーーーーーーーーー!海斗は、私のなんだから!」
「は?」
「あら、あなたは?」
「私は、愛瑠。海斗の幼馴染で、いつか結婚するのよ」
「いつかということは、まだ、私にもチャンスがあるっていうことよね。」
「っ....」
それから、俺は二人に腕を組まれていた。
アイリの方は、とても柔らかいものが腕に当たっているが、愛瑠は、なんか単純になんも当たっていないような...
「じゃあ、どっちが先に海斗くんを落とせるか勝負をしませんか?」
「望むところよ!」
なんということでしょう。俺はこんな美少女に好かれているのになんにも、感じないなんて。
「でも、あなたと勝負をすると不利になってしまうので、日替わりでアプローチをするというのはどうでしょうか?」
確かに、このままだと、幼馴染の方が一緒にいる時間が長いし、毎日学校でもアプローチが可能になってしまう。
「でも、学校がある日は、アイリちゃんはなんにもできなくない?」
「そうですね。でも、私今日、あなたたちの学校に転校することになりましたので。」
「「え?」」
俺と、愛瑠の声が重なった。
なんと、あの有名なアイドルが、俺たちの高校に転校してくるとは。
同じクラスだけは勘弁してほしい。
「今日からこのくらっすに転校してきた、臺坂リリアと言います。みなさん、どうかよろしくお願いします。」
とても可愛らしい笑顔で自己紹介を終えた後、クラスのみんな(特に男子)はとても騒いでいた。
が、リリアが俺の方に歩いてきて、頬にキスをしてきた。
「ふふふ。同じクラスで良かったです♡」
リリアがキスをすると、当然のようにクラスが驚いていた。
でも、しばらくして、みんなはなぜか納得していた。
そうこれは、ただ二人が俺に惚れさせるために努力する、いわばラブコメだ。うん。
結局のところ、今日は二人か熱烈なアプローチを受けたが、明日は、愛瑠からだそう。
正直、なにをやられても、好きになれない気がするが、現状一番ありだなと思っているのが....
「海斗君。」
「海斗。」
二人から呼ばれて顔を上げると、両頬にキスをされた。
これから、毎日こいうのをやられると正直、理性が保てなくなりそうなことはない。
だって、義妹に毎日されているのだから。
本音を言うと、俺は義妹のことが好きだったりする。
実は、海斗は幼馴染に隠していることがある。
数年前に、母親が再婚し、義妹ができた。
その際、海斗は、義妹にとても気に入られ、毎日アプローチされている。
それから、だんだん義妹の事が気になり始めてきて、最近、義妹に恋心をいだいていることを知った。
だから、愛瑠やリリアには、勝ち目がまったくない。
でも、もし、海斗は二人にアプローチされまくって、義妹より魅力的に思えたなら、きっと、勝算はあるだろうが、まずない。
海斗が、二人を好きになる確率は、2.0%。
果たして、海斗を落とせるのは誰か。
今ここに、二人の恋の戦争が始まる!