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第一話 孤独な夢の終わり

 36歳の主人公、さかき はるかは、いつもと変わらない朝を迎える。

 夫の翔太しょうたは仕事へ出かけ、食卓には冷めたコーヒーと食べかけのトーストが残されている。

 彼女は無意識にカレンダーを見つめ、その隅に小さく書かれた「病院予約」の文字に目を落とす。


「また、今回もダメだった。」


 妊活歴7年。期待するたびに訪れる落胆の連続。

 遥は自分の体に原因があるのではないかと自責の念に駆られ、いつしか笑顔を作るのが苦しくなっていた。


 その日、職場の同僚が妊娠したという話題で盛り上がる中、遥は作り笑いを浮かべながらそっと席を外す。

 周囲が祝福する中、自分だけが取り残されている感覚に耐えられなかった。


「どうして、私だけ……」


 心の中でつぶやいた瞬間、胸の奥に重く深い寂しさが広がっていく。


 家に帰ると、リビングは暗く、翔太の帰宅は遅れるとのメッセージだけがスマホに届いていた。

 ふと、結婚当初の写真を見返す。笑顔の二人、希望に満ちた未来。今はその希望が、色褪せた絵のように見える。


 彼女は窓辺に立ち、夜空を見上げる。星の輝きが心に染みるような気がして、一筋の涙が頬を伝った。


 そのとき、突然、眩い光が窓の外から溢れた。光に包まれる中、彼女は不思議な声を耳にする。


「あなたの願いを、もう一度叶える機会を与えましょう。」


 驚きとともに目を閉じると、身体が宙に浮き、周囲の世界が遠ざかっていく。


 遥は最後にひとつの思いを抱いた。


「もし新しい人生が始まるなら……寂しさから解放される場所に行きたい。」


 次に目を覚ましたとき、彼女は「無音の城」と呼ばれる異世界の中心に立っていた。


「ここは……どこ……?」


 目の前に広がるのは、灰色の空と感情のない人々が彷徨う城だった。

 この異世界で彼女は、自分の寂しさと向き合い、新しい使命を知ることになる――。


(次回へ続く)

数ある作品の中から今話も閲覧してくださり、ありがとうございました。


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執筆のモチベーションが大いに高まります!



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