解放 黒島と白柳 追伸 渡さない手紙
黒島(渡せるわけないよ。こんな手紙)
中学に入学して、一緒のクラスでよかったよね
思えば、四クラスあって毎年クラス替えする中で、三年間一緒だったのって結構奇跡的じゃない?
まぁ、先生がクラス分けの際、あの二人は一緒の方がいいとか画策してのことだったのかもしれないけどさ
一年の時、本陣に出会ったんだよね
「本陣のことが好きだったりした?」
なんて卒業式の日に聞いてきた時はびっくりしたよ
そんな素振り見せたことなかったのに
私と本陣に似ているところがあったからかな? 私に気を使って言わなかったんだろうけど
気持ちは、大体あの日に言った通り
異性としての意識は少しあったのかもしれない
集団心理や同調圧力が嫌いな私にとって、本陣の我の強さは共感してもいたからね
「なんで黒川さんはみんなと同じようにしてくれないの?」
小学生のころ、女子の中であの子を除け者にしようとした子が言ったんだよね
みんなって誰だって話だし、あの子を嫌っていたのもその子だけだったと思う
本当に多数いたとして、私が同じようにする理由なんてない
だから私は従わなくて、あなたも付き合ってくれたけど、影響力のある子だったから解決には時間がかかったよね
「皆という誰かがやっていたら俺もやらなくちゃいけないのか? そうは思わないが」
だったっけ? 本陣はもっと広い意味で言ったんだろうけど、似ていると思ったのか、なんか嬉しかったな
あの時、本陣もいてくれたのなら解決はもっと早かったのかな? あるいは、女子のもめごとには手を出さなかったかな?
いずれにしても、そういうことを平然と言う本陣は好きだったかも。人としてね。人として
ただ、一緒のクラスに進級していたなら、あっちの好きになっていたかもというのも嘘じゃないよ
でも、仮に付き合ったとしても本陣とは上手くいかなかった気がするな。お互いに色々と譲れなくて
きっとあれだ。嫌いではないし好きかもしれないけど、仲良くはできないってやつ
そんな本陣には、二年の時に姫絡みのことでキツい言葉をもらったよね。いや、もらったのは私だけなんだけど
美並さんに酷いことを言ってしまった私には、それでも足りないくらいだったとは思う
本当に、あの時の私はどうかしてた
姫、悠ちゃんに憧れるあまり、おかしくなってた
ただ、友達でいたらいいだけだったのにね
ああ、私が本陣のことを好きだったのかとあなたが思ったのは、たった数日で私の考えが変わってしまったからというのもあるのかな?
好きな人に図星を突かれたからこそ、みたいな
それは違うよ
私が数日で変わったのは、あなたの言葉だよ
「昔の、くろちゃんに戻ってよ」
そう言って、涙まで流したあなたが、私を元に戻してくれたんだよ
何も言わずに私に付いてきてくれたから、あなたも私と同じ想いなんだって思っていたけど、それが違うことが分かって
あの時は、怒りやら悲しみやらで当たってしまってごめん。ごめんなさい
でも、あなたの言葉が、涙が、私の心には響いていたんだよ
大切な友達を傷付けていたことが、何よりも痛くて。ずっと友達という約束を違えそうになっていたことが、心が張り裂けそうなくらいに辛くて
それは、本陣の言葉より、悠ちゃんを慕う気持ちよりもずっと重かったんだ
たった数日とはいえ、気持ちを落ち着けるのには時間がかかったかな? 学校まで休んで、心配させてごめんね
変わろう、元に戻ろうと思って、心機一転のつもりで髪を切ったけど、少し心配もあったんだ
昔、あなたが髪を切り過ぎて落ち込んでいたからさ、私も長い髪をそんなあなたに合わせるくらいにばっさりと切ったことがあったよね
「ほら、これでおんなじだよ」
「ばかああぁぁ。なんで切っちゃったのおおぉぉ」
逆に泣かせたことがあったから
短くして登校した時、あなたは冷静だったから、問題なかったんだよね? あったとしたら、あんな方法しか取れなくてごめんなさい
読み返すと、謝ってばかりの手紙になっちゃった
こんな私と、友達でいてくれてありがとう
ずっと楽しかったけど、中学三年のころは特に楽しかったかな
高校も一緒のところに無事に合格したね
高校では、もっと楽しもうね
白と黒は無彩色の仲間なんだよね
ずっと友達
私だって、その約束はずっと覚えているんだよ
ね、しろちゃん




