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「ふぉぉぉ……!!」
ベルナデットはその小さな命に感動していた。
ベルナデット6歳、妹が出来た。名前はコレット。
父親譲りのブロンドの髪と母親譲りのペリドットの瞳を持つベルナデットとは違い、コレットは母親譲りの金の髪と父親譲りのサファイアの瞳をしていた。
色は似ていない2人だが、顔立ちはどことなく似ており姉妹ということがよく分かる。
「小さいわ! 可愛いわ!」
「お嬢様、コレット様が驚いてしまいますからお静かに」
「わかってるわ!」
前世含め赤ちゃんなんて見たことがなかったベルナデット。
更に妹という存在も初めてであり、ベルナデットのテンションは振り切っていた。
「コレット、コレット、お姉様ですわよ!」
アランに注意されたのにも関わらずテンション高く騒がしく話しかけるベルナデットをはらはらと見守る使用人たちの不安とは裏腹に、コレットはベルナデットをじっと見つめた後きゃっきゃとご機嫌になった。
「わかるのね! 可愛いわ! 賢いわ! かわいいわ!」
ベルナデットはコレットにメロメロだった。
使用人たちもコレットが泣きだす様子がないことが分かり、レティシアと一緒に微笑ましそうにそんな2人を見守っている。
「コレット、貴女はわたしが守ってあげるからね!」
「何から守るんですか」
「それはもちろんコレットに害がある全てよ! はっ! こうしちゃいられないわ! お母様、私はやらなければならないことがありますので失礼します! 明日も来ていいですか?」
「ええ、いつでもいらっしゃい」
「ありがとうお母様! じゃあコレット、また明日ね! アラン、ちょっとついてきてちょうだい! では失礼しますわ」
「お嬢様!? では私も失礼致します」
「ええ」
「見事に振り回されていますね」
「ええ、あの子も苦労するわね」
2人が慌ただしく部屋を出て行った後、レティシアと使用人たちはちらりと目を合わせてクスクスと笑い合った。
「お嬢様! どこに行くんですか!?」
何故か廊下を全力疾走でかけていくベルナデットをアランが必死で追いかける。
「決まってるじゃない! コレットを守るためには私に苦手なものなんてあっちゃいけないのよ! 特訓の成果を見せてやるわ!」
「特訓の成果ってまさか……」
「マカロンに勝負を挑むわ!」
そうして辿り着いた先はマカロン用のプレイルーム。
バン!! と壊れそうなほどの勢いでドアを開けると、部屋の奥の方で遊んでいたジェレミーとマカロンが驚いて飛び上がった。
「さあマカロン! 勝負よ! 以前の私だと思ったら大間違いよ!」
「ベルナデット?」
大きな音を立てた相手を睨みつけたジェレミーはしかし、それがベルナデットだと気づき表情を困惑したものに変え、後ろに控えているアランに大丈夫か? と視線で問いかけた。
アランが無言で首を横に振ったのを見てジェレミーはマカロンの首輪を掴もうとしたが、それより早くマカロンが駆けだしてしまった。
マカロンがディアマン辺境伯家に来てから半年が経っていた。
ベルナデットはマカロンがやって来たその時以来会っていない。
ベルナデットの主な敗因は、彼が成長するということを完全に失念していたことだった。
結果はお察しの通りである。




