ベルナデットは噂の真相を知る
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「ええ? 嘘だったの?」
お泊り勉強会の翌朝、皆で朝食を取っている時にエマが嬉々としてアランの噂の真偽についてリディに尋ねた。
「嘘、ではありませんが。成績の悪い複数人にこっそり勉強を教えているそうですよ。その中にどこぞのご令嬢もいるようですが、『2人きりで』密会ではないそうです」
「でもなんでこっそり?」
「それは相手にもプライドがあるからでしょう。成績があまりにも酷くて1年の使用人に勉強を教わってるなんて、知られたくないでしょう?」
「『1年の』ってことは、中には上級生もいるってこと?」
「さぁどうなんでしょう? まぁこれ以上は相手方のプライバシーの為にもそっとしておいてあげるのが優しさかと」
「そうね、私としては密会じゃなかったのならそこはそんなに興味はないし」
「エマらしいわね」
ラブロマンスじゃなかったと分かった途端あっさりと興味を無くしたエマにグレースは苦笑した。
ふと視線を感じてベルナデットがそちらを見ると、カロリーヌが何故かとてもにこにこしながらこちらを見ていた。
「良かったわね、ベルナデット」
「?? 何が?」
「噂が本当じゃなくて」
言われたことを理解して、ベルナデットは思わず顔を赤くした。
確かにカロリーヌの言う通り、ベルナデットは噂が嘘でホッとしていたのだ。
(だけどそんなに顔に出ていたのかしら!? しかもこれアランが取られるかもしれないって拗ねてたことまでバレてるってことよね!? なんだかとっても恥ずかしいわ!!)
両手を頬に当てて赤くなった顔を隠しながらも、その通りであるので否定することも出来ず、かと言って肯定するのも恥ずかしい。
そんな葛藤の末、結局こくりと頷くとカロリーヌはふふっと更に楽しそうに笑った。
それを横で見ていたエマはその可愛さに身悶えながらも、興奮気味にリディに小声で話しかける。
「リディ! リディ! ベルナデットが可愛いわ!!」
「お嬢様はいつでも最高に可愛いです」
「それには全面的に同意するわ! それより!! あの反応ってそういう事でいいのかしら!? 恋!? 恋よね!?」
「ご期待のところ水を差すようで申し訳ないですが、お嬢様はそこまで考えが到っていないかと。恐らく今のお嬢様の心境としては、『アランに恋人が出来たら寂しいって思ってたこと見抜かれちゃった! 恥ずかしい!』程度のものと思われます」
「つまんない! けどリディが言うと納得できちゃう! うー、絶対その根底には恋♡があると思うのにー……」
「まあまあ、あれでも学園に来る前よりは前進していますよ。そういうものだと思って見守ってあげてください」
「見守るのは全然構わないけど……卒業までに進展するかしら?」
「…………まぁ人生は長いですから」
「あまりにもどかしくなったら私が一肌脱いでいいかしら?」
「じゃああまりに見ていられなくなったら、その時はお願いしましょうか」
2人は静かに頷き合って、そんな話をされているとは思ってもいないであろうベルナデットに視線を向けた。
突然2人に視線を向けられ首を傾げたベルナデットだったが、リディに「何でもありませんよ」と言われ、続けて「今日の予定についてですが」と話を変えられるとあっさりとその疑問は頭から抜けていった。




