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「それは面白いことになりましたね」
「おもしろ……??」
寮に帰って、今日の出来事をリディに話した後の彼女の第一声がそれだった。
「というか、驚かないのね?」
「ある程度はアランから聞いていましたから」
「そうなの!? ……なら教えてくれても良かったんじゃない?」
「『ローズ様はお嬢様のことが好きらしいですよ』って? そんなこと言っても絶対信じなかったでしょう?」
「2人の勘違いだと思うでしょうね」
「でしょう? 無駄なことはしない主義です」
ベルナデットはリディの言葉に納得しながらも、一方でそれでも教えてくれたらもうちょっと心の準備が出来たのに、と不満に思った。
「ところで来月にはまたテストがあるわけですが」
「あらもうこんな時間! リディ、夜更かしは良くないわ!」
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side:アラン
部屋に帰ってくるなり、アランはリビングスペースの大きなクッションに飛び込んで顔を埋めたままぎゅうぎゅうと抱きしめた。ちなみにこれはシリルの私物である。
「おーおー荒れてんな」
「誰のせいだ誰の」
「少なくとも俺のせいではないな」
完全に他人事なシリルの態度に、アランは伏せていた顔を上げてジロリと睨みつけた。
「半分はお前のせいだろ。お前のとこのお嬢様だろ? 止めろよ」
「俺なんかにあのお嬢様の手綱が握れるわけないだろ?」
「握れよ。お前なら出来る。自信を持て」
「無茶言うな。お前だって握れてないだろーが」
「うちのお嬢様はあれだよ。普通じゃないから」
「確かに普通ではないな」
「何だ? うちのお嬢様に文句があるのか?」
「お前面倒くせーな。そういうことは『お前の』お嬢様になってから言え」
「うるせー」
アランはひとつため息をつくと立ち上がった。アランとて別に本気でシリルが悪いと思っているわけではない。寧ろ同じ暴走系お嬢様に仕えるものとして彼にはどうすることも出来ないということも理解している。つまり完全な八つ当たりだ。
シリルもまたそんなアランの内心などお見通しで、この軽口の応酬もコミュニケーションの一種として楽しんでいる。
「まあうちのお嬢様が迷惑をかけてるのは事実だからな。相談くらいは乗ってやるよ」
「じゃあまずはお前がローズ様を誘惑してきてくれ」
「何が『まずは』だ。ふざけんな」




