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「びっくりしたわ……!」
「ええ本当に」
ベルナデットは未だドキドキしている胸を押さえながら先ほど見た光景を思い出していた。
「あれって、つまり、あの、そういう事よね? あの、愛の告白的な……」
「ええそうでしょうね」
薄っすらと赤くなった頬に両手を当ててしどろもどろに話すベルナデットに、リディが素っ気なく返事をした。
「リディ? どうしてそんなに機嫌が……え!? まさか」
「それは全くの誤解ですしとても屈辱なのでそれ以上は言わないでいただけますか?」
「屈辱って……アランを何だと思ってるの?」
「別に険悪なわけではないのでご心配なく。同僚としては好きですよ。ただ色々とあるもので」
「そ、そう? ならいいけれど」
リディの返事に良く分からないながらも、とりあえず仲が悪い訳ではないらしいのでベルナデットはそれ以上深く突っ込まないことにした。
「けれどじゃあどうしてそんなに不機嫌なの?」
「それは不機嫌にもなりますよ。あのヘタレ、お嬢様というものがありながらどこぞのご令嬢とあんなベタベタと」
「待って? その表現はいろいろと誤解を招くわ」
「別に私は構いませんが」
「アランが可哀想だから止めてあげて?」
ベルナデットがそう言うと、リディは不満そうな顔でひとつため息をついた。
「……アラン、あの子と付き合うのかしら?」
先程の光景が未だに頭の中をぐるぐるして、思わずポツリと零れたその言葉はベルナデットのものと思えない程に弱弱しかった。それにリディだけでなく、本人であるベルナデットも驚いたようだ。
「お嬢様?」
「いえ、大丈夫! 分かってるわ! アランにはアランの気持ちがあるわけだし、そうなったらあの子を優先するだろうから寂しいなって思っちゃったけどそれは言ってはダメなわがままだと思うし!」
「ヘタレがヘタレ脱却してくれればお嬢様が悩む必要なんて全く無くなるのに……」
「え?」
「何でもありません」
慌ててそんなことを言うベルナデットを見てリディがぼそりと呟いたが、その声は小さすぎてベルナデットには聞き取れなかった。
「心配しなくても、アランはあの方とお付き合いはしないと思いますよ?」
「どうして?」
「お嬢さまがいますから」
リディは自信満々にそう答えたが、ベルナデットはそれを聞いて納得いかなかったのか暫く何事か考え込んでいた。




