ベルナデットは帰省する
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「おかえりなさいお姉様!!」
「ただいまコレット!! 会いたかったわ!!」
再び退屈な馬車旅を経て屋敷に着いたベルナデットは、馬車から降りるなり待ち構えていたコレットに抱き着かれた。
溺愛する妹に出迎えられて幸せそうな顔をしたベルナデットだったが、すぐにハッとして心配そうな顔に変わる。
「ずっとここで待っていたの?」
「いいえ、私は待ちたかったのですがジャンヌに止められてしまって。代わりにお兄様が待ってくれて、教えてくれたんです」
「そうなのね。今日は体調はどう?」
「お姉様が帰って来たんですもの。とってもいいですわ!」
「ふふ、良かった」
「それより……」
コレットはキラキラとした目でベルナデットを見上げた。
「お姉様、髪を切ったのですね! とっても似合ってます! 格好いいです!!」
「ありがとう、コレット」
コレットに笑顔で返事をしながら、ベルナデットは「忘れてた」と内心冷や汗を流した。
制服は(リディが)抜かりなく女子制服に着替えているが、髪はどうすることも出来ない為短いままである。帰りの馬車の中でレティシアへの言い訳を考えようと思っていたのだが、馬車に乗る前のごたごたのせいですっかり忘れていた。
「ねえコレット? お母様は今日はお仕事かしら?」
「いいえ? 今お兄様が呼びに行かれたのでもうすぐ来るんじゃないかしら?」
コレットの言葉にベルナデットは絶望した。留守にしているというのが一番良かったのだが、そうでなくてもこちらから会いに行くのであればまだそれまでに言い訳を考えることが出来た。しかしすぐに来てしまうとなれば、言い訳を考える時間などない。
ベルナデットは最後の手段としてリディに目配せをした。こういう場合は優秀な侍女に任せるに限る。
優秀な侍女であるリディは、ベルナデットの視線に気づきその意味までしっかり理解してため息をついた。
「ベル!!」
屋敷の方から呼びかけられて顔を上げると、そこには満面の笑みのフェリシテが居た。
その後ろにジェレミー、更にその後ろにランベールとレティシアの姿があった。
彼らはベルナデットの顔、正確にはその髪を見て、それぞれに予想通りの反応をした。
「お姉様、お兄様、お父様、お母様、ただいま戻りましたわ」
「おー、おかえり。それにしてもバッサリいったなー」
「とっても可愛いわよ」
「うむ、短い髪も似合うな! 流石我が娘!」
ジェレミーは特に好悪の感情なくただその事実を受け入れ、ランベールとフェリシテは可愛いと褒めてくれた。
そしてレティシアは。
「そうね、私もとってもよく似合っていると思うわ。だからベルナデット、中でどうしてそうなったかゆっっっくり聞かせてもらえるかしら?」
「は、はい、お母様」
にっこりと黒い笑顔でベルナデットを屋敷の中へと連行した。




