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従者たちの報告会3


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

side:アランとリディ


「遅い」

「仕方ないでしょう? お嬢様が何故か浮かれててなかなか寝付いてくれなかったんだから」

「浮かれ……? 何か良いことでもあったのか?」

「私が聞きたかったんだけど、その様子じゃそっちも心当たりはなさそうね」


 アランとリディは揃って首を傾げたが、ベルナデットは単純そうに見えてよくわからないことを考えていることが多々あるので2人はまあ何か良いことがあったのだろうと考えるのを諦めた。


「それより、昨日の襲撃の事が知りたいのだけれど」

「お嬢様から聞いてないのか?」

「お嬢様は『昔会ったオングルが襲ってきたからやっつけたわ』と仰ってたわ」

「あぁ、まあ、間違ってはいないな」

「私の聞きたかったことはそれじゃないのよ。エマなら詳しいことを知ってるかと思って聞いたけど、流石に授業に集中してたから気づいたらオングルが倒れてたって言うし。お嬢様がまた危険な事をしたわけじゃないのよね?」


 ベルナデットが無茶をしていないか。リディが知りたいのはこの1点のみである。

 それを正しく理解しているアランは腕を組んでうーん、と唸った。


「オングルが襲ってきたわけだから危険じゃないことはないんだよなぁ……」


 そう言ってアランはリディにオングルが襲ってきたところからクラリスやベルナデットの言っていた内容、授業再開までを全て説明した。


「お嬢様はほんとに……本当に……!」


 アランはリディが心配やら安心やら怒りやらで言葉にならず地団駄を踏むのを苦笑いで眺めた。アランにもその気持ちはとても良く分かる。

 暫くそうしていたリディだったが、気持ちを切り替える為に俯いてひとつため息をついた後、上げたその顔はいつもの落ち着いたものだった。


「まあ大事が無くて良かったです」

「本当にな。あ、そういえば大丈夫だと思うんだけど、思いっきり殴ってたから腕を痛めてないか一応確認しておいてもらっていいか?」

「あら、珍しい。貴方が確認しなかったの?」

「問題なさそうだったのもあるけど、流石にあのクラス中の視線が集まる中でお嬢様の手を取るのは憚られて」

「あ、ああ、そうよね。普通はそんなことあれば注目の的よね」

「お嬢様の奇行に慣れ過ぎて感覚が麻痺してんなって僕も最近よく思う」

「良かったわねアラン。グルナ様じゃまだお嬢様の奇行にはついていけないと思うわよ。一歩リードね」

「……あんまり嬉しくないな」


 言葉とは裏腹にどこか嬉しそうなアランをニヤニヤと眺めてから、今日のベルナデットの様子を思い出しそういえば、と口を開いた。


「お嬢様が今日勉強をしていたって本当なの?」


 半信半疑といった顔で尋ねるリディに、アランは気持ちは分かると苦笑した。


「本当だよ。さっきお嬢様が無意識に身体強化を使ってるらしいって話しただろ? 今の状態じゃ魔力制御の授業に支障がでるからって、身体強化を解除する方法を探してたんだ」

「ああ、そういうこと。それで? 方法は見つかったの?」

「いや、借りた本には方法が載ってなくて。明日また探しに行く予定」

「? 何でそんな手間のかかること。そのまま図書室で調べれば良かったじゃない」

「あー、図書室にシャルル殿下とアンブル様が居たんだよ」


 クロエの名前が出た時、リディがひくりと顔を引きつらせた。

 それにアランが珍しいと思っていると、リディが苦々しそうに言った。


「私、あの人苦手だわ」

「そうなのか? リディがそんなこと言うなんて珍しいな。アンブル様の方はわりとリディのこと気に入ってそうだったけど」

「何か聞いた!?」

「うぉ!? いや、ただお嬢様に今日は一緒じゃないのかって聞いてただけだけど」

「そう、ならいいわ……」

「何かあったのか?」

「黙秘」


 更に珍しいことに少し赤い顔で目を逸らすリディを見て、図書室で見たクロエの様子とリディの性格からアランは何となく察した。


「未来の王妃様と揉め事は起こすなよ?」

「分かってるわよ」


 バツが悪そうに目を逸らしたままで「じゃあね」と言ったリディは何か言われる前にと思ったのかさっさと女子寮へと帰って行った。

 内緒と言われた筈のシャルルとクロエの関係を何故かアランが知っているということのおかしさにも気づかないくらいに動揺していたリディに、「アンブル様は凄いなぁ」と笑いながらアランも男子寮へと歩き出した。

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