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「ところで、ベルナデット様とアランはどういう関係なんですか?」
エマの質問にベルナデットとアランはきょとんとしながら目を合わせ、ドミニクは微妙な顔でエマを見た。
「アランは私の侍従なの。そういえば小さい時から一緒だから幼なじみになるのね!」
「そうなんですね! ずっとディアマン家に仕える家系とか?」
「いいえ、アランは私が拾ったの。というかエマ、クラスメイトなんだから様も敬語もいらないわ」
「あ、ありがとう……え? 拾った?」
「あれは私が6歳の時……」
ベルナデットがアランとの出会いを語ろうとするので、アランは大きく咳払いをした。
自分が捨てられたことを話すのは構わないのだが、ベルナデットが話すと余計なことまで話しそうだと思ったからだ。いくら死にそうな顔をしていたと言っても、普通の令嬢なら殴って気絶させて連れて帰ったりなんてしない。というか、普通の人間ならしない。
「ちょっと割愛しますが、僕が親に売られそうになっていた時にお嬢様が助けて下さったんです。あ、親については僕はもう全くどうでもいいんでそこはお気になさらず」
「まあそうだったのね! 流石ベルナデット様……あ、ベルナデットね!」
「お前優しいお嬢様に会えてラッキーだったなー」
「そうですね」
優しいお嬢様は出会い頭に殴って気絶させたりしないんだよなぁ、とアランは思ったが、それを言うわけにはいかないので笑って誤魔化した。
「ところで……」
エマがキラキラした目でくるりとアランの方を見たので、アランは何となく嫌な予感がした。あの目は知っている。よくディアマン家のメイドたちがしている目だ。
「アランは、助けてくれたそれはそれは可愛いお嬢様にドキドキしちゃったりしなかったの?」
「ないですね」
エマの質問に、アランは間髪いれず即答した。もっと他の聞き方をされたら言葉に詰まったかもしれないが、それに関しては間違いなく否である。『恐怖で』という意味ならものすごくドキドキはしていたが。
アランの答えにちょっと不満そうな顔をしたエマは、くるりとまたベルナデットの方を向いた。
「じゃあじゃあ、ベルナデットは? 何かアランに感じるものがあったから助けたとか!」
「その時のアランが死にそうな顔をしていたから助けなきゃって思ってたわ」
「そういうんじゃないんですーいてっ」
口を尖らせてぱたぱたと腕を動かすエマを、呆れた顔でため息をついたドミニクが軽く小突いた。
「2人とも、悪いな。こいつ恋バナが好きでさ、たまに暴走するからそういう時は相手しなくていいから」
「わかったわ!」
「わかりました」
「2人とも酷い!」
ドミニクが止めてくれたことに、アランはホッと安心して息を吐いた。
それを目敏く見つけたエマは「あら?」と思ったが、その場では何も言わずに「今後に期待ね」と密かに独りほくそ笑んだ。




