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「ははっ、つまり俺は女に負けたってことか……はははっ……」
「えっと、ごめんなさい?」
「お嬢様、それはたぶん逆効果です」
先程までより深く落ち込んでしまったドミニクにベルナデットは罪悪感を覚え、小首を傾げてとりあえず謝ったのだがアランから駄目出しをされてしまった。エマは小首を傾げるベルナデットを見て悶えている。
「イオリット様、ディアマン辺境伯家のことはご存知でしょうか?」
「ディアマン……そうか、君はあのディアマン家の」
流石ディアマン家、ランベールの脳筋のことは貴族の間では常識並みに有名な話なので、ベルナデットがそのランベールの娘だと知ってドミニクは若干浮上したが、それでもまだその顔は晴れない。
「そうです。ベルナデット様はあのディアマン家の人間です。では、ベルナデット様の兄であるジェレミー様のことはご存知ですか?」
「ああ、確か10歳くらいの時に父から『男としてのプライドを捨てたくなければ間違っても彼に勝負を挑むな』と真剣な顔で言われたことがある。『あれには私でも勝てん』とも言ってて驚いたからよく覚えてるんだ」
「流石お兄様だわ!」
「お嬢様、ちょっと静かにしててくださいね。イオリット様、そのジェレミー様に、ベルナデット様は勝ったことがあります」
「え? ……あぁ、なんだ、気ぃ使わなくていいよ。勝ったって、それどうせ子供の頃の話だろ?」
「いえ、あれはジェレミー様が魔法学園に入って1年後の話です」
「……は?」
ドミニクはアランの言うことが信じられなかった。その話が本当ならベルナデットは父が勝てないと言っていた頃より更に1年後のジェレミーに僅か11歳で勝ったということになる。
「流石に嘘だろ?」
「本当よ! 何ならお兄様とフェリシテお姉様に聞いてもいいわ!」
「……そうか、ははっ、すごいな。ディアマン嬢、急に勝負を挑んで悪かった。相手をしてくれてありがとう」
「こちらこそやりすぎてしまってごめんなさい。勝負自体は楽しかったからリベンジならいつでも相手になるわ!」
「ははは、当分それはいいかな……」
2人は和解して和やかに話していたが、その横で話が聞こえてしまった上級生たちは揃って蒼い顔をしていた。
ディアマン領ではベルナデットのインパクトに隠れて誤魔化されがちだが、ジェレミーもなかなかの脳筋であり、学園では数々の武勇伝が事実捏造入り乱れ語り継がれている。
先程のアランの話を信じるなら、ベルナデットは危険だ。
(((どうか巻き込まれませんように!!)))
そんなことを思われているとは夢にも思わず、1年生4人は楽しそうに訓練場の片隅で親睦を深めていた。




