ベルナデットは勝負を挑まれる
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「とっても驚いたわ」
訓練場の隅にしゃがみこんでから、ベルナデットは大きく息を吐いた。
幸い訓練場に用があると言っていたエリックは人を探しに来ただけだったようで、奥にいた男子生徒に話を聞いた後「ここにはいなかったみたいだ」と言い、2人にひらひらと手を振って去って行った。
「まさかお姉様のご兄弟が学園にいたなんて……」
「あんな嘘ついても同じ学園にいる以上、バレるのは時間の問題だと思いますよ」
「私もそう思うわ……」
しばらくしゃがんだまま項垂れていたベルナデットだったが、悩むのは得意ではない彼女は「よし!」と気合を入れて立ち上がった。
「まあ悩んでも仕方がないわよね! バレたらお母様に内緒にしてもらえるようにお願いすることにするわ!」
「お嬢様のその切り替えの早さは尊敬します」
「そんなに褒められると照れるわ!」
「誉めてないです」
よし! と気合いを入れて立ち上がったベルナデットは改めて周りを見回した。
入学式の日ということで他の学年も今日はもう自由なのだろう、ちらほらと体を動かしている人がいる。
しかし流石学園の訓練場、大人数が入ることを想定して広く作られており、スペースは十分にある。
「さあアラン、やりましょう!」
「まずは準備運動からですよ」
「わかっているわ!」
すぐにでも始めようとするベルナデットをアランが制して2人で準備運動をしていると、訓練場に1人の男子生徒が入ってきて叫んだ。
「ベルナデット·ディアマンって野郎は居るか!!」
穏やかでない男子生徒の様子に、ベルナデットとアランは何事かと顔を見合わせた。
「何かご用ですか?」
ベルナデットとアランは男子生徒に近づいて、まずアランが声をかけた。
無視することも考えたが、この様子では会えるまで探し続けそうな為、面倒事は早めに片付けようという結論に至った結果である。
「お前がベルナデットか?」
彼はアランを睨み付けながら尋ねた。どうやらベルナデットの容姿については知らないらしい。
「ベルナデットは私だ」
アランが口を開くより先に、ベルナデットが先ほどエリックと話していた時のような常より少し低い声で答えた。その目は爛々と輝いている。
男子生徒はそこで初めてベルナデットを見て一瞬たじろいだ。
しかしすぐに気を取り直し、ベルナデットに向かって叫んだ。
「俺と勝負しろ!!」




