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朝食を食べ終えてから一度自室に戻って準備をした後、ベルナデットはリディと2人校舎へと向かった。
女子寮と男子寮の間には既にアランが立って待っており、女子寮の方を見ていたアランは男子制服を着た生徒が歩いてきたことに一瞬不審な顔をした。しかしすぐにその生徒の隣を歩くのがリディであることに気づき驚いた顔をし、次いでその男子制服を着た生徒の顔を見て見事に固まった。
「おはようアラン。男子寮はどうだった? 私はリディと同室だったわ!」
何事もなかったようにいつも通りに話すベルナデットにアランは口をはくはくとさせたが結局声にはならず、説明を求めるようにリディを見た。
アランの視線を受け止めたリディはしたり顔でこくりとひとつ頷いた。
「そういうことです」
「どういうことだよ!?」
アランの叫び声に何事かと周りにいた生徒から注目が集まったが、頭を抱えたアランは気づいていない。
「似合わないかしら?」
「とてもよくお似合いですけど!?」
「そ、そう? ありがとう」
まさか褒められると思わなかった為、ベルナデットは少し赤くなりながら小さな声で返事をした。
その可愛らしさに思わず真顔になってから、アランはハッとして周りに視線を向ける。恐らく男だと思われているにも関わらず、ベルナデットの可愛さに男女問わず見惚れている。彼らはアランの視線に気づくと慌てて目を逸らした。
「やっぱりお嬢様の美しさは短い髪に男子制服にしたところで隠しきれないようですね」
「良い虫除けになると思ったのに」と言いつつため息をつくリディにアランも内心で全力で同意する。
1人よく分かっていないベルナデットは首を傾げたが、アランが咳払いをしたことでにこりと笑顔になったリディに「なんでもありません」と言われ、アランとリディの間で使用人のやり取りをしたわけねと納得した。
「リディには後で話を聞くとして、とりあえず教室のある校舎へ向かいましょう。クラス分けは入り口に貼り出してあるようです」
「そうなのね! 楽しみだわ! 早く行きましょう!」
「お嬢様、淑女は走りませんよ」
「わかっているわ!」
ベルナデットはアランの言葉を聞いて駈け出そうとしたところにリディに釘を刺され、わかっていると言いつつも抑えきれず早足になりながら2人を促して校舎へと向かった。
クラス分けが貼り出してある場所は人だかりが出来ていた為すぐに見つけることが出来た。
使用人と一緒に入学してきた貴族の生徒はほとんどが自分は離れた場所で待ち使用人に確認させていたが、ベルナデットがそんなことをするはずがない。嬉々として人混みに突っ込んで行った彼女に諦めたようにアランとリディが続いた。
「あ! リディはA組だわ! あ! エステルもA組だわ!」
「あら、本当ですね」
「私は……A組じゃないわね……」
「あ、お嬢様はB組みたいですよ? ほら」
リディとクラスが別れてしまいしょんぼりしているベルナデットに、アランがどこか嬉しそうに声をかける。
「え! アラン私より先に見つけてしまったの!? やるわね!」
「お嬢様への執着が強すぎて気持ち悪い」
アランの言葉にベルナデットは瞳を輝かせたが、リディは引いた顔で1歩離れた。
「誤解を招く言い方止めてくれます!? 僕の名前が上の方にあるから先に自分のクラス確認しただけだ!!」
「あら本当! アラン同じクラスね!」
「チッ…本当ですね。アラン、必ず、絶対に、私の分までしっかりお嬢様をお守りしてくださいね?」
「もちろんです」
不満だけど仕方がないといった顔で言ったリディに、にっこりと勝ち誇った顔でアランが答えたのを、「相変わらず仲がいいわねー」とズレたことを考えながらベルナデットは眺めていた。




