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詩集:インパーフェクト ワールド

埋めてくれ

作者: 歌川 詩季

 泳げるけど、顔つけたくないです。

 銀色に光る新しいシュノーケル

 ボンベをのせない猫背のおれを

 二度と()の目を浴びないように


 深く 深く 深く 埋めてくれ



 弓なりに曲がる 青(さび)(もり)を持つ

 みじかく千切れた背びれのおれが

 赤い夕陽(ゆうひ)をおがめぬように


 深く 深く 深く 埋めてくれ



 (ひざ)たけのぬかるみじゃ 光の亡者はよみがえる

 まぶた焦がして ひとみを()いても

 顔も沈めない ぶざまなクロール

 コースロープが絡めとるのさ



 銀色にまわるドリル つきたてたなら

 みにくく(ゆが)んだ背すじのおれを

 墓穴(ぼけつ) 掘るより りっぱな穴で


 深く 深く 深く 埋めてくれ



 腰高の浅瀬から 光をよこせと(すご)むだろ

 ひどくただれた ほおを()がしても

 顔を(おお)うのは 薄手のビニール

 厚くクリームを()りたくれなきゃ


 深く 深く 深く 埋めてくれ


 深く 深く 深く 埋めてくれ

 水に潜るのは嫌い。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  >深く 深く 深く 埋めてくれ  このフレーズがとても残ります。  憧れに届く覚悟がないなら……ということなのかなぁと、思いました。
[良い点] 何も出来ないならいっそ諦めた方が良いとは言う辛い詩ですね。
[一言]  埋められたいほどどうしょうもない気持ちがあるのか…。  手に入らない光を眺めるだけならば、いっそ見えない方がいい。  そんな諦めのような思いにも取れました。
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