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はじまりの出会い


吾輩は童貞である。

経験はまだ無い。


それは26歳になった年の夏の終わりのころだった。

ただ一人の親友である細川(仮称)と遊んでいた時、ある話が話題に上がった。


「そういえばさ、亮太郎結婚するんだってよ。」


近野亮太郎(仮称)は小学校中学校と同じ野球クラブに入っていた旧友であった。

高校で別になり大学は東北に行ったが年に数回は集まって遊んできた仲だ。

ただ最近は就職とコロナ禍によってここ1年以上会っていない。

そこへ来ての結婚の話。驚きを禁じ得なかった。

「いや正確に言うと違うんだけどさ。ほらこれ見てみろよ。」

そう言って見せられたのはインスタグラム。亮太郎のアカウントであった。


〈この度、婚約いたしました。〉


そう書かれている上には幸せそうに笑っている男女の姿が写真に映っていた。


マジじゃん…。あぁ、でも婚約なのか。そっか、良かったぁ。

結婚じゃなくて。

式の話すら聞かないまま結婚済みってそれが一番心に来るし。


そう思ったのは仕方ないことであっただろう。


「だからさ、お前も早く彼女作れよ。」

彼はそう言ってきた。

彼女。

生まれてこの方出来たことはなかった。出来そうになったことも勿論無い。

20年以上にも及ぶ人生の内、女性と話した時間なんてすべて合わせても1日にも及ばないかもしれない。少なくとも高校生になってからこの10年程度、まともに女性と話した記憶が無い。

そんな自分に彼女を作れとこの男は言ってきた。

「もうさ、俺たち26歳だぜ。流石にヤバいって。ほら、前に話しただろ?マッチングアプリとかさ?やってみろよ。」

確かにそれは紹介されたことはある。触りだけやったが、長続きはしなかった。


しかし、いまここでやってみなければ近い将来、数少ない友人が結婚してしまった後、独りぼっちになってしまうのは容易に想像できる。


やるか!

ならばやってやるしかない。


それこそが今の自分に必要なことだ。


俺は!!童貞を!!捨てるぞ!!!

J◯J◯ォォ!!!



そうしてマッチングアプリを始めて1週間。

ボクはまだセックスを知らなかった。

イイねをした数は100を超え、しかし返ってくるモノはなし。

万夫不当の豪傑であった。

誰もそんな活躍は望んでいない。それでも我の前に立つモノはいなかった。

悲しい現実がそこにはあった。

明日からどうしよう。


マッチングアプリを始めて音沙汰無く2週間にさしかかった。

細川に何もないことを相談した。

そしてプロフィールや写真の取り方を教わった。

そうしたら何件かのイイねが帰ってくるようになった。

解せぬ。

しかしこれは僥倖である。

この機会を逃さずにデートまで漕ぎ着けねば。


一人の女性とトントン拍子に話が進んだ

あちらから誘われるままにラインを交換し、デートの日付まで決まった


そしてそのとある女性のれいかさんと出会った。

タワマン住み、将来は独立して企業を目指してる方だった。

24の時に上京して就職し、タフネスで上方思考。

会社の社長は25でフリーターから起業してそうで、起業時の資本の収入源はブックメーカーへの投資だという。

化け物か?

熱心にその社長に勧められた投資の話をされる。

投資してからこんなに自分は変われたのだとか。

経済的な余裕も出来て楽しいと。

余りにも人との交流が無い私は純粋無垢な性格であるが故にこの話も信じていた。

はえー。すごいなーくらいにしか聞いていなかった。

社長に会えますよと言われた。

会ってみませんか?

しかし極度の人見知りであった私は断った。

当然である。見知らぬ他人にあう機会など少ないに越したことは無い。

そのままその日は解散したが、帰り道の途中にふと思った。

怪しい話ではなかったか?

あぁ、これは詐欺の話だったのでは無いだろうか?


調べた。

結論、詐欺だった。

ブックメーカーというキーワードだけで詐欺の話が出てくる。

悲しい。

ただただ悲しい。

いや、思い返してみると怪しかった点は多々あったのだ。


当日になって集合時間30分前になってから3時間の変更を求めてくる。

待ち合わせの店には何も言わず先に入る。

高いブランドのバッグやタワマンに住んでるにも関わらず先に出してきたのはファミレス。

話は色々したが最も話が弾んでいたのが投資と社長の話。

これは詐欺だったのかもしれない。


無駄足であったことは嘆かわしいのだが、しかし、私は女性と話したのは高校生以来では無かったか。

この10年の中で一番女性と話した。

これに感謝せずして何に感謝するのか。

神に誓おう。

彼女に圧倒的感謝を捧げる。

そして、金輪際会わぬだろう。


はぁ、人生1個分疲れた。


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