飯石成男40歳童貞の恋。④
飯石『ぐぁぁああああ』
正面から日本刀で思い切り斬られてしまう
チカチカと光る電灯の下、血飛沫が派手に噴き飛沫く。
飯石『む、無念……ッ』
なんてこった本当にこれが人生のクライマックスに
なるなんて………
………………………。
………。
『はっ!』
目を開けると俺は居酒屋のトイレの中に居た
『たしかに俺は突然現れたニンジャに斬られて死んだはず…』
なんてこった…今流行りのタイムループものってやつか?
俺はしばし片手で頬に杖をついて考える。
ということは未来に起こり得る事象は既に分かっている。
次に俺がすべき行動は忍者に斬られないよう、斬られる状況を作らないよう行動すること。
それが…
飯石『それが自分、しいては千沙子の命を守ることにも繋がるんだ…‼︎』
『先生〜?大丈夫ですか?』
トントンと、ドアをノックする音と千沙子の声が聞こえた。
飯石『ふぁっ!大丈夫だいじょぶ……』
千沙子『そうですか。安心しました〜』
飯石『って何をバカなことを言ってるんだ俺は…』
ふぅっとため息をつきながら腕時計を見る。
飯石『たしか、サプライズ忍者理論の話をして暫くした後、気持ち悪くなってトイレで吐いて
暫くうずくまっていたら…うわそこから20分も経ってら』
妄想のような夢のような、その中間というか。白昼夢のようなモノを見ていた。(夜だけど
)
吐いたのなんて何年振りだろう。
最近は寝不足で飲み会も連続していたのでそのせいもあるだろうが、
何より自分の理屈くさい話をあんなに真剣に聞いてくれる生徒がいることが嬉しくて、つい酒の許容量をオーバーしてしまった。
飯石『よし』
トイレから出て千沙子のいるカウンターに戻る
飯石『すまない。待たせたな』
千沙子『いえ!ぜんぜん』
相変わらずの笑顔で俺を迎えてくれている。
本当にかわいい生徒だ。
飯石『遅くなる前に帰るぞ。親御さんも心配するだろうしな』
千沙子『はい!』