表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/23

メリーVSスーパーヒラコ

 黄金の闘気を湛え、真の力を引き出す超ヒラコ。

 座敷わらしは基本的には軟弱な妖怪だが、しかし一万倍ともなれば、その力は想像を絶するものに。


「ではでは、ちょいと動くぞ。ほんのちょちょいちょいとな――」

「み……見え……」


 瞬く間もなく間合いを詰めよると、力強いアッパーがメリーの顎を打ち抜く。


「うぐ!?」


 すぐにメリーはカウンターの右脚を振り上げるも、空を切り手応えは感じられず。


「遅いわ!」


 ヒラコの裏拳(バックフィスト)がメリーの後頭部を打ち抜いて、強烈に畳に叩き伏せられる。


「よくも背後を……」

「だからどうした!」


 腹を蹴り上げられると、抜けた天井を越えて宙に浮かぶメリー。既に上空にはヒラコが先回りしており、両手を重ねて固めると、地上に向けて叩き落とす。

 畳も床も貫いてメリーは地面にうずまった。それを見下ろすヒラコはまるでホバーするように、ゆっくりと両足を畳に着ける。


「言っておくが、我はまだ本気ではないぞ。五十”ぱぁせんと”といったところじゃ」


 震える手が空いた穴の縁を掴み、メリーが顔を覗かせる。打った頭は血を流しながらも、不敵な笑みを浮かべていた。


「よ……良かったわ……その程度じゃ……つまらないと思っていたところよ」

「ほほ、強がりを。じゃが運と実力、双方とも我に軍配が上がっておる。先の例えで言うならば、絶好調の”ぷろ”に挑む”すらんぷ”の”あまちゅあ”といったところかの」

「おあいにく様。私は常に不幸であり、それがつまりベストコンディション」


 メリーは穴から飛び上がると、追って来るであろうヒラコを上空から見下ろす。

 しかしヒラコは直立不動で動く気配は見られない。


「空中戦に自信ありか? だが残念じゃったな。我はその上を行くのじゃ」

「だったら早くあなたも――」

「その必要はない」


 ヒラコが右手を掲げると人差し指が立てられる。その狙いはメリーへ向いて、指先には迸るエネルギーが集束していく。


「な……なんなのこれは……」

「喰らうがいい、我が全身全霊のじゃじゃん()をな」


 咄嗟にメリーは両腕を交差し、ガードの体勢を作り出した。


「じゃじゃぁああああああん!」


 瞬間、閃光が煌めいて、直後にヒラコの指先から極太のビームが射出される。その破壊力はメリーのガードを易々と破壊する超威力。

 メリーは影かたちもなく消え去ると、空まで突き抜ける光の筋は、雲すらも破り天に昇った。


「ほ、ほほほ……ほほほほほ! 勝った! これにて我の”はっぴぃえんど”――」

「私、メリー……」


 力と勝利に舞い上がるヒラコは、それをすっかり忘れていた。

 メリーの絶対の能力、アブソリュート・ビハインドを。


「あ…………」

「今ようやく、あなたの背後に立った!」


 超ヒラコは一万倍の力を有している。それはメリーすら凌ぐ、途轍もない身体能力かもしれない。

 しかし力だけ。常時は運頼みのヒラコは戦闘技術を持ち得ない。せっかく得た力も、ありあまるエネルギーを暴走させるのが限界で――

 対してメリーは百戦錬磨。技術と努力が骨の髄まで刷り込まれたメリーと違い、ヒラコは反射的な行動に至ることができず――


MARYYYYYY(メリィイイイ)YYYYYYYYY(イイイイイイイイイ)!」

「ぎぃああああああああああああ!」


 爆速の蹴撃がヒラコを襲い、飛び上がるメリーは両足でスタンピングの連撃を。


MARYMARYMA(メリメリメリメリメリ)RYMARYMARYメリメリメリメリメリメリ……」

「ぎょぎょぎょぎょぎょぎょぎょぎょぎょ……」


 そして最後にバク宙し、慣性を伴った極超音速(ハイパーソニック)のサマーソルトがヒラコの顎に迫り来て――


MARYAAAAAA(メリィアアアアアア)AAAAAAAAA(アアアアアアアアアア)!!!」

「ぎょえぇえええばぁああああああああ!」


 顎を破壊され吹き飛ぶヒラコは、御寝所への襖を貫いて、屋敷の最奥に飾られるオロチの紋章を突き破った。

 めりこむ壁からずり落ちて、意識を失くしたヒラコは黒の垂髪で顔を覆う。

 つまりこれにて、メリーの立ち位置の白黒は決着した。


「私、メリー。今あなたの上に立ったわ!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ