何で俺だけ「ジャンケンで決める」
「いやいやいや!え?戦うの?魔王と?そういうイベント?」
「それって死に確じゃないの?」
「優勝賞品がここで経験値減るのを飲み込めるだけの代物だったら儲けものじゃね?」
「と言うか、アダマンタイトこんなに貰えただけで死んでも良いんだが?」
どうやら納得はできると言ってくれているみたいで俺は内心ほっとした。けれども次のプレイヤーの言葉でこの場がざわつく。
ソレは最初に鑑定を行使したプレイヤー。
「なあ?ここに居る全員でこの場で魔王をぶっ殺せば良いんじゃね?今俺たち全員現時点で解放されてるレベルは最大まで行ってるでしょ?前みたいに低い状態じゃ無くて、今は強化も随分としっかりとできてるし、装備も充実してるし?ワンチャン行けんじゃね?」
このプレイヤーは鑑定ができるにはできても「物」へとしかできないらしい。
俺の、この魔王のステータスを見ていたらきっとこんな言葉は吐けなかったと思う。
何せ光魔法を重ねた攻撃を受けても極微小のダメージしか受け無かったこの身体だ。
光属性は魔族、もしくは魔王への特攻になるはずの魔法だ。それが幾らレベルがまだまだ低かった時とは言え、それを重ね掛けした攻撃で俺にはほんの小さな痛みくらいしか与えられなかったのだ。
彼らが幾ら高レベルであってもまだまだ魔王攻略には早いように思える。
俺自身が魔王のステータスをまだハッキリと見れている訳では無いが、これには確信があった。
しかしこうしてこのプレイヤーが放った言葉に乗るプレイヤーは居なかった。どうやら優勝賞品の方に比重が行ったらしい。
「ちょっと気になりはするけどそれも。でも、優勝すると何を貰えるかの方が気になるかな?」
「そうねえ。準優勝にも何か貰えないかと思うんだけど。あ、もし準優勝とかあれば、完全にやられちゃったら始まりの街に戻されちゃて受け取れないから、その時には降参しないと駄目だな。」
「お前らは勝ち残れる自信あんのかぁ。俺は無いんだよなあ。」
「絶対に俺たちバランス悪いわー。相性最悪じゃね?」
さて、どうしようかと思った。このままここに居る全員とバッチバチにやり合うのも面白そうだと思ってしまった。
ここにはゲブガルもマイちゃんもミャウちゃんも居る。万が一にも俺がやられそうになったら助けてくれる部下が居るのである。
「では、君たちが自ら戦う相手を選んで自由に決めてみたまえ。最後まで勝ち残る程の強さを持った者にだけだ。私と戦う資格があるのは、な。」
俺はそんな偉そうな事を吐いてみた。この発言にプレイヤーたちが俺へと視線を集める。
その後は直ぐにプレイヤーたちは「じゃんけん」をし始めた。どうやらそれに勝ったパーティが相手を選ぶ権利を得るみたいである。
ジャンケンポン、その掛け声が十回以上続いてやっと決まったようだった。
(緩いなあ。彼らはこれを公式イベントでも、もしくはストーリーに何か絡むイベントだとかでも思っていたりするのだろうか?)
こんな企画としてスカスカな中身の「テキトウにやり合って」といった内容に違和感は感じないのだろうか?
もしくは楽しければそれでいい、とばかりに、この魔王の「中身」を疑ったりはしないのだろう。
こうして俺の目の前でプレイヤー同士の戦いが始まった。この玉座の間はかなりの広さだ。戦うにも十分である。
俺はこれを玉座に座りながら楽しく観戦するのだった。




