何で俺だけ「ちょっかいを出していこう」
一目散に魔王の城を目指して走る集団。その集団もお互いを脱落させようと攻撃をし合いながらである。
「くっそー!あいつらしつけーんだよ!おら!さっさと落ちやがれ!」
「馬鹿野郎!しつこいも何もあるかボケェ!てめえらが落ちるんだよおおお!」
「何だこいつら!?接近戦ばっかり仕掛けてきやがる!?」
「と言うかこいつら全員近接ジョブばかりじゃねーか!?とか言ってる間に近づかれてるし!」
「そのてめーらのチマチマした魔法攻撃が鬱陶しいんだよ!おらぁ!男ならロマンを追い求めやがれぇ!」
「ドデカイ武器で一撃必殺はロマンだろ!ロマン!魔法?邪道じゃおらぁ!」
「バランス悪いパーティの奴らは無視して俺らだけ先行して逃げ切るぞ!」
「ちょ!リーダー待って待って!魔法職の奴らこっちに向けて大魔法仕掛けてきてるぅうぅうぅ!?」
「走りながら詠唱とかドンダケ器用なんだよ!ちくしょうがぁ!迎撃か!?躱すか!?面倒くせぇ!」
「なんだか忍者みたいな恰好の奴らが追いかけて来てるんだけど・・・って手裏剣!?ちょ!おまっ!?」
「何であいつら口に巻き物加えてんの?って言うか無詠唱で魔法ブッパかよ!?」
「忍者ムーブ面白そうだけど、何であいつらあんな目立つ格好?」
「今それどころじゃねーだろ!あ!くっそ!他のパーティからの攻撃で足止め!?」
「脚の早さだけなら負けねえよ!おら!お前らくたばれ!」
「マキビシは卑怯だろぉがぁ!くそったれぇ!って言うかこのゲームそんなのも作れんのかよぉ!?」
「と言うか何で全身鎧の重戦士が俺らの速度に追いつける訳ぇ!?鈍足の代名詞だろうがぁ!マキビシなんてものともしてねぇ!?」
「ちょ!あいつら何であんなデカイ剣持ってて走る速度があんな早えんだよ!?・・・って!うぎゃあああ!」
城へと一目散に「レース」を始めた集団の均衡が崩れた。その一撃を引き起こしたのは「これぞ忍者!」と言った格好をした集団だった。
あらゆる妨害を仕掛けるその忍者たちに魔法職パーティも、重戦士パーティも、バランスよくジョブを固めたパーティも苦戦させられ続けていた。
そしてとうとう魔法職パーティから一名が脱落させられる。ここで一気に重戦士たちが猛攻をこの機に仕掛けて次々に魔法職パーティを潰していった。
その間にもこれらのパーティ以外のプレイヤーたちが、どさくさに紛れて先頭を行こうと走る速度を上げる。
まだまだプレイヤーたちの数は多い。混戦、乱戦は続いているのだ。ちょっとだけ均衡が崩れたとはいえ、その穴を埋めるかのように新たなパーティが先頭集団への戦闘に入り込む。
「おらオラおら!切り刻んでやるぜ!」
「新手かよ!こんのぉ!くたばりやがれ!」
「させねえよ!アラヨット!そんな遅い攻撃当たりませーん!」
新たに加わったパーティは瞬発力重視のスキル構成である様で、重戦士たちの攻撃をヒョイヒョイ躱して挑発を続けつつ走る。
その挑発に乗って仲間たちの中から突出して釣り上げられてしまった重戦士の一人が油断して後方からの魔法攻撃を受けて転ばされる。
「うがあ!?くそったれえええ!」
その重戦士はあっと言う間に囲まれて他のプレイヤーに袋叩きにあって消えた。
隙を見せた者から容赦無く消される修羅場である。余りにも空気が殺伐とし過ぎていた。
それでも、後方から追撃してくるプレイヤーたちにも気を配らないとならないこんな緊張の連続を、プレイヤーたちは潜り抜け続ける。
しかし、もうそれも終わりに近づいてきたと思えるくらには城の様子が見えてくる。そんな距離になってここに来て大きな変化が彼らを襲う。
ヤバい気配をまき散らせながら集団の後方から迫って来る何者かがあった。
最後方に居たプレイヤーはその気配を察知して迎撃態勢をとったのだが、それは無残にも引きちぎられ、叩き砕かれ、引き裂かれる。
そう、そこに現れたのはこの城周囲を徘徊するフィールドボスと言われる存在だった。




