何で俺だけ「翌日の事」
その翌日もこの玉座の間でどれだけこの「魔王」の体で動けるのかを徹底的に検証した。途中でミャウちゃんが帰って来てそんな俺の見て感動していたのはどう言った事かと首を傾げたが。
「う・・・っわ。えげつないぞコレ・・・これちょっと動いただけで瞬間移動みたいになってるじゃん。プレイヤーはこんな「魔王」の相手をするって設定だったのか?・・・いや、もしかしてコレ、俺、玉座から立ち上がっちゃいけないパターンじゃないの?」
俺がもしこの「ジョブ」にならなかった場合、もしかすると魔王は玉座に座ったままにプレイヤーと対峙していたんだろうと思われた。
そして今頃は魔王は倒されてエンドコンテンツが始まっていた可能性を考える。
「魔王様が完全に復活成された暁には、プレイヤー共をこの世から一人残らず消して愚かなる人種どもを蹴散らしに参りましょう。この世界は魔王様の物。力の無い弱者が我が物顔でこの大地の所有を主張しています。それがただの勘違いだった事を思い知らせてやりましょう。」
何だかミャウちゃんが恐ろしい事を口にしているが、俺はなるべくそれをスルーする。
だってもしこのゲームを遊ぶプレイヤーがいなくなったら俺の存在をそれこそどうするんだ?って話になるからだ。
その時には運営がこのゲームの「終了」を宣言してしまうだろう。そうなれば俺だってこのゲームで遊べ無くなる。それは困る。
「さてはて、プレイヤーに厳しく当たって遊び応えを感じて貰うにはどの程度が適当なのかね?とりあえず今は・・・ライドルの所の様子を見てみるかな?」
俺はフィールドマップを出す。半透明な四角いそれが俺の目の前に出る。それにはライドルの居る「塔」の周辺の広大な森の全体像が映し出されていた。
「うーん?この青いのがプレイヤーで良いのかな?・・・よし、じゃあ先ずは試してみるか。」
俺はその青点のすぐ側にあった赤点、そう、モンスターをタップしてそのままスライドさせる。
その方向はプレイヤーの居る方向。青点へである。そしてソレは段々と近づいて行く。そして接敵した。
「あー点滅するのか両方。で、コレにまたもう一つ追加してみると?」
俺はまた別の所にあった赤点をその戦闘に参加させるように誘導した。それは成功する。
「乱戦になったな。じゃあもう一つ追加で。・・・あー、プレイヤー側がヤバいらしいな?点滅が早くなってるや。」
どうやらモンスターを増やしたせいでプレイヤー側がピンチらしい。どうやらまだまだモンスターとの乱戦、連戦は厳しいと言った感じだろうか?
プレイヤーのレベルが見えない、そしてモンスターがどの様な種類、強さなのかがこの状態だと分からないのだ。
「ドアップにして見ると・・・おお!?分かる!分かるぞ!面白いな!コレ!」
青点から青い丸へと変わりその詳細の一つが浮かんでいる。マップ拡大ができてその戦闘がどの様な動きをしているのかが何となくわかるくらいにまでなった。
レベルも分かるし、モンスターがどの様な強さなのかも一目瞭然になる。
しかしそのプレイヤーもモンスターも分かる情報はレベルだけ。名前やどう言った特徴があるのかは分からない。
それでも今まで「魔王」として椅子に座っていただけの時を考えるとかなり進歩している事で俺は興奮した。しかし、これにはどうやら制限があるらしかった。
「戦闘が終わってモンスターの勝利に終わったけど、うーん?一日に動かせるモンスターの数に限りがあるのか?」
その後は赤点を動かそうと、誘導しようとしても全然反応が無かった。おそらくは魔王の権限とやらがまだまだ解放されていない、と言うゲーム的理由からだろう。でも俺はコレに大分今は満足できていた。
「おめでとうございます魔王様。コレでより積極的に奴らを血祭りにあげられますね。」
物騒な言葉を使うミャウちゃん。とは言え、それは確かな事実だ。俺が積極的に動いてこれからはこちらからポイントを稼ぎに行ける。
「毎日コツコツ、だな。良し、今日はここまでか。ならミャウちゃん、ちょっと頼みごとがあるんだけど、良いかな?」
俺のこの言葉にミャウちゃんは「何なりと御命令を」と言ってくれたのだが、その後に続く説明に「お、畏れ多い・・・」と恐縮してしまった。




