何で俺だけ「やっとの事でレベルアップ!」
俺の封印は解かれた。まあ、まだ一段階だけだが。それでも今回のライドルの活躍のおかげである。
「いやー!ホント良かった良かった!ライドルが無事でホント、何より!それでしかも俺の方もやっとできる事が増えたとくれば!・・・まあでもあんまり興奮しない方が良いな。それでもライドルがやられなかった事は心から安堵したよ。いや、マジで。」
俺のこの言葉に目の前でライドルが「は!有難きお言葉!」と跪いている。
そう、今回の事で直接お礼が言いたかった俺はライドルをこうしてわざわざ呼び出してしまっていた。
こう言うのは直接ちゃんと相手を目の前にして感謝の言葉は述べ伝えるべきだろう。
なので代わりにライドルの拠点にはミャウちゃんが一時的に出向して守って貰っている。
「四天王二人が予想外にも早めに追い出されちゃってるからね。二人が無事だった事は、それはそれでいい事だったけど。プレイヤーの皆ガチ勢怖すぎだろマジで。マイちゃんを追い出した奴らは未だにその城に居座り続けてるって言うし?こっからどうやって巻き返せばいいんだろうなあ?」
俺は悩む。プレイヤーの今後の動きが読めないからだ。俺は別段天才なんて代物じゃあ、無い。
なので今後の展開はどうしようかと言った点で悩むのだ。もちろん、今の俺にはできる事が増えたので、それを駆使して今後ともプレイヤーをぶっ倒す、と言った方針にしかならないのだが。
「椅子から立ち上がれたんだけどさー?この部屋からは何故か出られないっておかしくね?確か椅子に縛り付けられてるって設定だったのになぁ?うーん?特殊な結界でも一緒にこの部屋に張ってあったんかね?まあ、いっか。良し!取り敢えずはライドルの塔の周辺のモンスターを強化しようか。より安全を確保って事で。」
「は!有難き幸せです。次にプレイヤーが攻めてきた時には今回の様な失態は致しません!」
「いや、別に全滅させられ無かった事は気にしちゃ駄目だよ?と言うか、そこにはそれほどに拘らないでね?って言うか、そう言った事に比重を重く割いてると別の部分に気が行かなくなって足を掬われるから、広い視野を持とうね?」
どうやらライドルは攻めてきたプレイヤーを全員撃ち殺せなかった事を悔やんでいるらしい。ライドルにはここに来て貰って直ぐに戦いの経過と結果を説明して貰っている。
コレに俺がライドルを落ち着けと諫めると、これにまたライドルが「は!肝に銘じまする!」と畏まる。こうしてライドルの謁見は終了した。
「しかしまあ、何と言うか。モンスターの強化がよりできるようになったのは、良い事か。しかもフィールドボスの方の様子もちょっとだけ分かるようになったのは、どうやって活用すればいいんだ?」
こうしてレベルが上がる前にも四天王の拠点周囲の強化はできる仕様だった。なので今回はそれがもう一段階強化できるようになっただけの事だ。
それとどうやらフィールドの「様子」を見れるようになり、そこに存在するモンスターの動きが把握できるようになった。
コレにもやもやした思考をずっと続けていたのだが、目の前に浮かぶ画面を操作してみる。すると。
「もしかしてだけど、これ、俺が誘導できるのか?リアルタイムシミュレーション?これを動かしてプレイヤーを追い詰める的な?マジかよ?」
今、ライドルの塔の周辺の森のフィールドマップを出している。そしてソレは拡大縮小が可能だ。
その画面には赤点がまばらに存在していてそれがモンスターを表していると言うのが何となく解った。
なのでその赤点に触れてみたのだが。
「動かせ・・・るぞ!?俺のスライドしていった指先に赤点が着いて来てる!おおお!?面白くなって来たな!?」
どうやらやっと俺はプレイヤーとの交流ができるようになったと言う事らしい。とは言え、これはかなり遠回りでの接触と言わざるを得ないが。
「よっし!ポイントはこっちに今度は注ぎ込むぞ!もっと強化したら他にどんな事ができるようになるのかね・・・と言うか、椅子から立ち上がれたのに部屋から出られない問題は何ら解決して無いけどな。」
俺はここに来てやっとこのゲーム内で自由に動き回れる様になった。とは言え、どうにもまだまだ魔王のレベルを上げないとこの部屋からは出られない仕様となっているのは理解できた。
なのでここは一先ずこの場所で自分がこの「魔王」の体でどこまで動けるのかの実験をしておくのが望ましいだろう。
いつかフィールドで自由に動き回れる日の事を考えて、だ。
「その前にプレイヤーがここに攻め入って来るのが先になるかもな。とは言え、そう簡単に俺もその時にはやられてやる気は無いからなあ?」
こうして先ず俺は誰も居ないこの場所でラジオ体操第一をして慣らしを始める事にした。




