何で俺だけ「抵抗」
プレイヤーの動きはなかなかに堅かった。俺の狙撃に反応した速度もなかなかだ。随分と的確な指示を出せる骨のある者が中心に居る。
それでも大幅に数は削れた。その崩れを持ち直そうとして取った作戦もまた俺の攻撃をひたすらに防ぐ事を狙ったものであり、生き残る、と言った強い信念が感じられた。
「ふむ、どうやら侮る事はできんな。奴らを屠るに最低限しか魔力を籠めていなかったが、そう言う訳にもいかなくなった。隙間が無いな。ならば少々こちらも力を見せるか。」
残った者たち全員が盾を重ねて自分たちの姿を覆い隠していた。その歩み、進みは分散していた時よりも相当に遅くはなったが、それでも確実にこの塔へと向かって前進を続けている。
「距離は近くなった。ならば籠める魔力を上げればどう言う結末になるか。さて、俺の力が上か、或いは奴らの用意した盾の頑強さがそれを上回るか。勝負だな。」
奴らの動きを先ず止め、進むための気力を奪うには何処を狙うのが一番いいか?ソレは。
「真正面の盾持ちを射抜く。さあ、力比べだ。」
魔力を多く籠めた一撃は撃った後に時間をそれなりに置かないと次が放てない。なのでここはまだ距離の残っている内に試してみる事が大事だった。
「魔力装填・・・最大!いくぞ!俺の必殺の一撃・・・止めて見せろ!」
ソレは光の筋。毛の細さ程の真っ白な光が飛ぶ。そしてソレは吸い込まれるようにプレイヤーへ。一番強固に見えた大盾の中心に当たる。
「・・・どうやらこの勝負、俺の勝ちのようだな?」
光となって消えていくプレイヤー。その数「3」。貫通した。その一撃の射線上に重なったプレイヤーを消し飛ばしている。
そう、俺が魔力を多く籠めた一撃には「貫通」の効果が付くのだ。
これを防ぐには貫通「無効」の効果が要る。もしくはダメージを抑えて耐えきれるようにするのであるなら「貫通半減」などと言った威力を抑える効果が盾に付与されていなければならない。
これらの効果付きを用意するにはかなりの金が必要となるだろう。プレイヤー共の生産職に依頼を出せばそれなりの効果を発揮する盾は今の時点でも買えるはずだ。ここら辺の情報はミャウエルが収集していて俺にも共有が為されていた。
だがそんな盾があろうとも、きっとそれでも結果は大きくは変わらなかっただろう。この作戦は盾持ちが射抜かれてしまえば終わるしかないものであったから。
貫通する威力を減らせたとしても、奴らが喰らうダメージは大きく、一撃で屠る事は可能だっただろう。俺の籠めた魔力弾は伊達じゃない。
そうなっていたらプレイヤーは時間を掛けて一人一人始末されていたと言った違いがあるだけで、全滅は免れなかった。
しかしここで大胆な行動を取り始めるプレイヤーたち。その指示はやはり的確だった。
「む?そうか、その判断の早さは驚嘆に値する。愛銃が冷えるまでは時間が掛かる。コレは総合的に見て、俺の負けか。このプレイヤー、やるな。ふぅ、しかし全滅させられなかったか。残念だ。」
そう、撤退だ。プレイヤーは直ぐに後方へと下がっていく。進んできていた時よりも速い速度で森を戻り始めた。
これに俺は小さな溜息と共に残念な気持ちを込めた眼差しをプレイヤーへ送るしかなかった。




