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何で俺だけ  作者: コンソン
「俺」
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何で俺だけ「今更きた連絡」

「で、なに?俺の事をバッサリと切り捨てておいて連絡してくるとはいい度胸だな?」


 俺はこれまで一緒にやってきたゲーム仲間の電話に出て早速はっきりと拒絶の言葉を突き付けた。


「おいおい、何だよ、そんなに機嫌悪くするなよ。しょうがないじゃん、お前が来なかったのが悪いんだからさ?」


「それで、用事は?無いならもう切るぞ?お前らと俺は一緒にゲームやって無いのに何で連絡してきた?はよ言え。出なければ切る。」


「ちょお前!待て待て待て!お前もやってるだろ?何処の街に居る?合流しようぜ。お前もパーティー作って今は他の奴らと仲良くやってんべ?でさ、今度ホラーハウスに行こうぜってなってよ?それで合同パーティーで攻め入ろうって話がでてさ。それで募ってんのよ。」


 コイツに反省の色は無い。もうこれだけで充分こいつがこの後言うだろう言葉が何となく俺には予想できた。


「今回のコレでお前との仲直りをしたくってよ。どうよ?お互いコレで水に流そうじゃないか。」


「無理だな。もう二度と連絡してこないでくれ。これを切ったら着信拒否しとく。お前らとはもうやっていけそうにない。」


「ちょ!お前心狭すぎ無い?俺たちは昔から上手い事やれて来れてただろ?それをここで終わりにする気かよ?ちょっとソレは無いんじゃないか?」


「うん、そうだな。お前らが俺を裏切った事は変わらないから。それで心が狭いと言われても結構だ。可愛い女の子を目の前にしてお前らは俺を切り捨てた。それが事実、真実だ。お前らの中身が今回の事で良く理解できた。まあ、今まで楽しくやれてきた過去は否定しないけどな。でも、もう、なんて言ったら良いかな?冷めた、お前らに。」


「ちょちょちょ!そんな事言うなって!お前今どんな奴らと組んでるの?教えてくれよ。そいつらにこの話を通してくれるだけでも良いんじゃね?前みたいに一緒に馬鹿やろうぜ?な?」


 未だにこいつが自分の都合だけを俺に押し付けている事に何ら気付いていないのだろうか?

 電話越しに聞こえてくるその声が何やら中途半端に焦っている事が何故か分かる。しかしその理由は分からない。けれども当てずっぽうでいい加減な事を言い放ってみる。


「お前ら、遅刻した俺の代わりに仲間に入れたって言うその女性プレイヤーに逃げられたんだろ。だから焦って空いた枠に俺をスカウトしたいって所か?」


「おま!何でその事知ってるんだよ!?まさか俺たちの動向を探ってたのか?ソレはお前根暗過ぎだろ行動がよ?」


「カマかけただけなのに良くもまあペラペラと俺の事を悪く言えるな?誘導尋問とすら言えない罠に簡単に引っ掛かりやがって。」


 この返しに何やら電話越しから「ぐぬぬぅうぅ!」と唸っている声が聞こえたのだが俺はこれを無視した。


「じゃあな。もう俺はお前らと一緒に遊べねえんだわ。バイバイ。・・・ああ、そうだ。気をつけてな?」


 俺は最後に見送りの言葉を掛ける。多分ホラーハウスとはバイゲルの屋敷の事だろう。俺も最近に色々と情報を集めたりもしたが、結論は「あそこはヤバい」だった。

 ビンビンに俺の中の勘が言い放っている。そこには絶対に行ってはいけない、と。

 そこに挑もうとしている以前の「元仲間」たち。俺は念仏を唱える。南無阿弥陀仏、と。心の中だけで。


「あ、着拒しとくか。まあ他のメンバーも俺の連絡先知ってるし、そいつらが順次俺の所に電話かけてきて対応してからだな。謝らないでいきなり俺のせいにしてくる奴は着拒でいいだろ。さて、もう寝とくか。明日の仕事は少しだけ進めておいて週末に備えるかな?」


 その後には他の残り四人からの電話は来なかった。それはそれで別に構わない。静かで良い事だ。

 アイツらが俺へと謝罪の言葉を伝える手段くらいは残しておいてやらないと、くらいは思っている。

 と、まあ上から目線な気持ちでいるが、結局はどう説得の言葉を並べられても、裏切った事を謝罪されても、俺はこのゲームでアイツらと一緒に遊ぶ事はどう考えても不可能だ。

 何せ俺は「魔王」をしているのだ。プレイヤーとは真反対、敵対勢力である。俺の魔王はプレイヤーを滅ぼす事が「遊び」の大前提である。仲良く一緒に遊べ無い。


「それにしても、あの女性プレイヤー、脱退したのか。まあ、多分あいつらの「人間性」がよっぽど受け入れ難かったのか、もしくは他のもっと良いパーティーに出も誘われて引き抜かれたか?・・・どうでもいいか、寝よ。」

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