何で俺だけ「稼いでいこう」
早く俺のこの「魔王」が最大レベルまで強化できるようにしなければいけないなと感じる。
プレイヤーが攻めてきた時に俺はむざむざやられてしまう気は無いが、それでも倒されてしまうリスクは低くしておかねばならない。
まだ俺はまだ封印段階解放がまだ一つも上がってはいないのだ。そう、膨大なポイントを必要とするのである。
せめてもうそろそろ次の段階になってもいいじゃない、とは思うのだが、まだまだそれにも道のりが遠い。
「最初の一つ解放するのに2万ポイントとか、じゃあそれ以上になるといくら必要になるの?って思っちゃうよなあ。」
レベルと言うのは上げれば上げる程に、次のレベルアップに必要な値は爆発的に増える。それが当たり前なのだゲームとは。
「こちらから積極的に稼いでいくしかないんだろうけど、もう多くのプレイヤーは各地のダンジョンのモンスターの対応を覚えちゃったから、雑魚じゃポイント稼ぎは難しいだろうしなあ。」
当然このゲームの主人公は「プレイヤー」となるのだ。そうなれば遊んでもらう対象に「楽しい」と思われなければ継続して遊んで貰えないのがゲームと言う物である。
遊んで貰える機会が無ければ「課金」要素もそれこそ関係無くなってしまう訳で、売り上げが激減すればこのゲームが早くもサービス「終了」となりかねない。
そうなれば俺のこの「魔王」も終わりである。俺はその点にも留意しなければいけなかった。何せこのゲームの主人公は「魔王」では無いのだ。
俺が余りにも出しゃばり過ぎれば、このゲームの「寿命」とやらを短くさせてしまう可能性が出てくる。
まあそこら辺は既に手おくれと言える部分ではあるのだが、幸いにもまだこのゲームのプレイヤー人口は徐々に増えて行っているらしい。
「そんな情報は耳に入ってきているけど、別段俺への影響は感じないんだけどなあ。」
初心者、まだまだ成長せずに弱い状態のプレイヤーが遊べば、そこら辺の雑魚敵にも苦戦、或いはやられてしまうと言った事も出てくるはずだ。
なのにそこら辺で入って来るポイントと言う見方で言うと、どうにもそれらしい増え方は感じない。
「新人を囲い込んで育成してる所があるのかな?まあ、それはそれか。俺が何かと言える部分が無いんだよなあ。」
「魔王」が「プレイヤー」の遊び方に文句など付けられるはずが無い。それぞれが「別ゲー」をしている様なものであるからだ。
それに、敵対している相手にこちらの事情、都合が宜しくないと押し付けてみても「だから何だ?関係無い」で済む話だ。
「ポイント稼ぎに何かしらの作戦が必要になるよなあ。ミャウちゃんには定期的に「狩り」をして貰っているけど、ここ最近はそう言った奴らは見かけなくなってきてるって言うし?」
ミャウちゃんは今日は巡回に言って貰っている。なのでこの場所には俺しかいない。ぼやいた所で誰の反応も無い。
「なんだか掲示板ではミャウちゃんが自浄作用だ、やら、運営が警邏してるとか言っててこのゲームの評判に繋がってるみたい何だけど。俺の存在なんて想像もできないだろうな。」
どうやらプレイヤーたちの間ではミャウちゃんは正義のヒーロー、しかも過激派で通っている。迷惑行為は見逃さない、しかもやる事と言ったら仲裁では無い。「粛清」だ。そりゃ俺が「やっちゃえ」と命じているのだから容赦は無い。
喧嘩などが起きていれば様子を見る様に言ってある。そしてどちらも暴れ始めようとした時点で介入し、両成敗しておけと。
ちゃんとどちらの言い分も姿を隠している状態で聞いて、明らかに迷惑を掛けている方がいたらそっちだけ狙えとも命令は出している。
そこら辺がどうやら上手い事機能しているらしい。いや、この場合は誤解を生んでいると言えるか。
「もうこれだけじゃポイント稼ぎも頭打ちになり始めているしな。他の方法も模索しないといけないな。」
ミャウちゃんの「正義の味方」は止めさせるわけにはいかない。コレが大きな効果を地味に生んでいる事は確かだからだ。
そうは言っても他のもっとポイントを稼げる方法を考えなければいけないと言うのはある。
俺はそう考えながら本当に「別ゲーだな」と口から洩れるのを止められなかった。




