攻略!悪魔王編!「目を付けられた」
一気に突撃スピードを上げて氷の嵐を一瞬で突っ切る。そして目の前に悪魔王が。そこでやはり「球」が光る。
これで確実になった。この「球」は悪魔王戦での専用アイテムだったのだ。
(四つも光ってる!?要するに、一種類に付き一つって事か)
だけども悪魔王が纏う黒い靄は晴れない。どうやらコレは適用外、と言うか、もう一個「球」があれば消せたのかどうかも分からないこの今の状況だと。
「でりゃあああ!」
僕は勢いのままに凶悪トゲトゲハンマーを悪魔王に振り落とした。だけどソレは一切通じなかった。
「え?」
ハンマーが柄の部分だけを残して消滅。どうやらこの黒い靄はそう言う効果を齎すモノだったらしい。
「コレは運営、プレイヤーを本気で殺しにきてますわー。」
一瞬だけ呆けてしまった所に悪魔王がその腕を振るって来る。まるでコバエでも散らすかの様に。
その攻撃は今の僕のステータスで避ける事ができる速度だったから難を逃れる事ができた。
丸薬効果で今の僕のステータスは爆上がり中なのでその瞬発力で辛うじてこの攻撃を避ける事ができたのだ。
だけどその避けた距離はその莫大なステータスによって10mも悪魔王と間を作る。咄嗟の事だったので力加減を調整できなかった。
(張り付いて連撃を入れて、何て事がもうコレで出来ないな。ターゲットを完全に僕に絞って来た・・・)
武器を消滅させられると言う理由と、そしてもう一つ、こっちもヤバイ。
【また同じ糞虫かぁ!二度もしてやられるとは!・・・先ずは貴様から始末するべきだった】
怒りの表情は僕に二度も力を大幅に封じられたから。そしてその後は直ぐにその顔を真顔に変えて冷静な声に変わった悪魔王。
そう、完全に僕を殺しに来ている。殺意を完全に僕に向けてきている。次に何かされる前に僕を絶対に片付けてやる、そんな意気を感じる。
僕にはこれにもう打つ手は無い。あの「球」は既に手元に無い。全て消えてしまった。
悪魔王の黒い靄の対策は恐らくは「光の力」関係で、それが無いと相殺できないのだろうと推測できる。
となればここはもう他のプレイヤーに全部を託すしか僕に残った道は無い。自分の肩に乗っかっていた重責は消え、役割をやり通したのだ僕は。
「でもなぁ。キルされるのは勘弁だよ。」
こんな台詞を僕が漏らした直後に悪魔王が動き出した。と言うか、動き出したなんて表現は足りない。
気が付くとパッと消えて、そしてソレと同時にと言って良い。僕の目の前に悪魔王が現れたのだから。まるでコマ落としの様だった。
【死ね】
たったそれだけ。悪魔王が口にした言葉は。
だけど舐めないで欲しい。そんな大上段に腕を振りかぶってソレを落とすなどと言う大振りな動作では、やられるなんて事は今の僕のパワーが上がっているステータスでは有り得ないのだ。
既に横に跳び避けている僕。悪魔王の手刀は振り下ろされているのだが、そこに僕はもういない。
【ちっ!】
舌打ちが聞こえたけれども僕にはソレに構っている暇は無かった。直ぐに悪魔王が僕の方に向いてきてまた大振りな動作で腕を今度は横に薙いだから。
それでも僕はソレに当たってなんてやらない。丸薬の効果が尽きるまではせいぜい時間稼ぎをさせて貰う。他のプレイヤーの対応が整うまでは。
「あー、魔王は何処に消えた?絶対にどっかに隠れてると思うんだけどなー。」