攻略!悪魔王編!「そうも言ってられなくなった」
そこには白い「魔王」が居た。うん、そのまんまだ。しかもどうにも「完全体」であるらしい。
悪魔王と言うからてっきりその姿は真っ黒だと思っていたのだ。
だって第一形態も、第二形態も、それこそ黒かったんだから。
なのにここに来て真っ白である。誰だってそりゃ驚く。僕だって魔王だって例外じゃ無かった。
そして魔王の脅威を知る、被害を受けたプレイヤーはきっとここで心の中で「無理ゲー」と叫んだに違いない。
そんな悪魔王の最初の攻撃はその「無理ゲー」の言葉に恥じないモノだった。
衝撃波、しかも見えない。全周囲攻撃。それは多くのプレイヤーを吹き飛ばしてしまったからだ。
この悪魔王の姿にビビらずに攻撃を仕掛けたプレイヤーだけが被害を免れた。
その攻撃の威力で目に見えない衝撃波を相殺した事で無事に済んだのだ。
その相殺した空白地帯に運良く入り込んでいたプレイヤーだけが助かったと言った具合である。
「魔王、コレは幾ら何でも介入した方が良いよ。アレを抑えられるのって魔王だけじゃない?」
「えー、あれがもし俺と匹敵する強さだった場合は逆に俺がやられる可能性大って事でしょ?それならプレイヤーたちに犠牲になって貰って悪魔王をもっと弱らせて欲しいんだけど?」
「え?それ鬼畜過ぎない?」
僕は魔王のこの弱腰、弱虫、卑怯発言にびっくりだ。
「戦わ無いとは言って無いよ?だけどさー、もし俺がコレでやられちゃったら今後どんな処理をされるか分かっていないし?確実に「あ、コレ死なないわ」って分かってる戦いなら俺も直ぐに参入しても良かったけど。アレはちょっとねー?」
確かに魔王がこの最終決戦で悪魔王に殺害された場合、どう言った「処理」が運営からなされるのか分かったモノでは無い。
なので慎重になってしまう魔王の言い分も分かった。それに魔王がやられたその時にコレを知った魔族たちがどんな動きを見せるだろうか?。
二重に用心しないといけない事があるので魔王が消極的になってしまうのは頷けた。
「あー、プレイヤーはやり直せるのが確定してるもんね。確かに囮や捨て駒にして様子見と言うか、当て馬にするのはしょうがないかー。」
ご愁傷様である。とは言ってもこのまま外野でぼーっとしていたらきっとプレイヤーはこのまま磨り潰されそうだ。
今こうして僕らが呑気に会話をしている間もプレイヤーは悪魔王に攻撃を仕掛けているが、軽くあしらわれている感じである。
接近戦を仕掛けたプレイヤーの攻撃は見えない壁に跳ね返され、撃ち込まれた魔法は虚空に消えている。理不尽と叫びたい光景が繰り返されているのだから堪ったモノでは無い。
悪魔王のこの状態が最後の最後だと思うのだが、いかんせん、倒せるビジョンが浮かんでこないのだ。
ここで戦力として温存するべきはプレイヤーか、魔王か。
プレイヤーならそこに「光の力」と言う計算し難い要素が混じる。今その力を揮う事の出来る者が何人居るのか分からない。
魔王だと「やられてしまった時」にその後がどうなるか分からないリスクが見え隠れ。非常にデカイ問題だこちらも。
と言ってもそんなのは今戦っているプレイヤーにはどうでも良い事、と言うか、そんな事を知る者は一人もいないだろうが。
「うーん?せめてプレイヤーが悪魔王に一撃マトモに攻撃を入れられたそのタイミングで参入ってどう?」
僕は魔王に提案をする。このままプレイヤーが潰れるまで傍観と言うのは駄目だろう流石に。
ここでもしかしたら運営が「敗北」の最低ラインを設定していた場合、プレイヤーの被害が大きく広がってそれに引っ掛かるまで落ちてしまうと、最悪このイベントが失敗に終わる可能性もある。
「・・・はぁ、もう今は出しゃばらないとか、ピンチになったら介入、とか言ってる余裕は無いかぁ。そうだねぇ、もう少し様子を見てその内突入しようか。誰かしら今のこの現状を打破できないと先に進め無さそうだ。と言うか、今アレだよね?大魔法撃ち込んでたけどソレも掻き消されてたよね?何かソレは駄目じゃね?魔法が通じないのを何とかしないとダメじゃんね。卑怯でしょ、アレ。解除か掻き消す何かが無いと。あれって能力?って事?封じれる?・・・何か引っ掛かるなぁ・・・おや?」
「いや、あの「球」じゃないの?言われて僕も思い出したけど。・・・あー、でも使い方が分からないね。そのまま悪魔王にかざせば良いのかなぁ?それとも悪魔王の身体に押し付ける?」
こうしてまだもう少しの時間僕らは悩んで今後の動きを決めたのだった。