攻略!悪魔王編!「コレで打ち止めになるの?」
さて、僕も魔王も直ぐにその場から遠く離れたのでプレイヤーたちには絡まれなかった。
と言うか、それ所では無いのだ。第三形態が待っているのである。
第二形態が撃破されてまた黒い球体に変化した悪魔王の次の変身を待つ時間だ。この短い間にプレイヤーたちは立て直しを図らねばならない。
何せ「黒狼」に大分蹂躙されて陣形も何もあったモノでは無いと言った様相を晒しているから。僕らにそもそも構っていられる時間など無いはずである。
プレイヤーは随分と「黒狼」に引っ掻き回されて酷い状態だ。相当に被害者も出ていたりする。
何せ「黒狼」が二度目に足を止めるまでの間は僕と魔王は一切手出ししていないのだ。
最大のチャンスを待つ間にやられていくプレイヤーを横目に我慢だった。コレはしょうがない犠牲だったと言わざるを得ない。
何せそこで手出しして仕留め切れなかった場合はもっと被害がデカくなっていた可能性すらあったから。
「僕らの事はもう多くのプレイヤーたちに認識されただろうし、第三形態の時には戦闘にこのまま参加しても良いんじゃない?」
「いや、確かにそうだけどさ。でもやっぱ最後の切り札的な感じで隠れておいてプレイヤーが限界を迎えたら出て行った方が効率も効果も良いと思うだよね。」
「ポイント稼ぎとかはしないとか言って無かった?良い所だけ掻っ攫う感じ?」
「いや、あくまでもプレイヤー主体で戦って貰って、どうしようも無い部分だけ俺たちで解決をする的な?最初から最後までそこら辺の点は通したいね。」
「そもそもここまでの難易度になったのって魔王がほぼほぼの原因じゃね?マッチポンプ?」
「人聞きが悪いなぁ。俺はそんなつもりでこの「悪魔王編」を遊んだ訳じゃ無いんだよ?最初っからこう言った仕様になっていると分かっていたらプレイヤーに合わせた調整はしたと思うよ?幾ら何でも。」
そんな会話を僕らが交わしている間にどうやら悪魔王の形が定まって行く。今度は相当に小さい。
と言うか、どんどんと縮小して行っている。その姿はまるで「人」の形に変形していく。
ソレをプレイヤーは囲っていく。どうやら一気に初っ端で第三形態を撃破してしまおうと言った魂胆の様だ。
近接系のプレイヤーがどうにもパワーを溜めているエフェクトを出している。
魔法使い系のプレイヤーは既に大魔法の発動準備を終えていた。
「あちゃー、様子見も無しに全力短期決戦だね、こりゃ。」
魔王がそんな呟きを漏らした。僕も何でここまでプレイヤーが短期決戦をしようとするのかが分からない。
今回のプレイヤーたちを纏めるのに連携も何もこれではあったもんじゃない。
どうやら陣形は大幅に変わっていて何やら奇妙な形になっていたのだが、僕にはソレがどんな効果を齎すのか知らない。
「お?形が定まって来たなぁ。・・・はぁ?」
「え?これって、魔王どう言う事?」
「そんなの俺が知るはず無いじゃん?」
僕らだけじゃ無かった。その姿を知るプレイヤーたちからどよめきが走る。
だってそこに現れたのはどう見ても僕が良く知る者の形を取っていたからだ。
『我が名は悪魔王、「悪魔王ルシファー」。虫けらどもよ、よくぞ私をこの姿にまで追い込んだ。褒めて遣わす。が、ここまでだ。あいさつ代わりに・・・幾らか死んでおけ』
そんな台詞が響いたと同時にそのルシファーから光が放たれた。